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英語版10万本を超えたアクションRPG『ルセッティア』の裏側
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2011.01.06 |
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昨年は日本の大手ゲームメーカーが海外市場への展開に苦戦する様子が目立ったが、同人ソフトでは成功したものがある。アイテム屋経営&アクションRPGの『ルセッティア』だ。
本作は、アイテム屋の店長になった主人公ルセットが、借金取りの妖精ティアとともにお店の経営をするRPG。英語版は9月にダウンロード配信がスタートし、発売1ヶ月で2万6000本をマーク。さらに12月にも本数を大きく伸ばし、いきなり累計10万本以上に達した。
この数字はローカライズを手がけたCarpe Fulgur社にとっても予想外。スタートアップの会社で広告に割く予算もなかったことを考えれば、第1弾のローカライズタイトルは大成功といえそうだが、創設者の1人であるアンドリュー・ダイス氏がブログで明かしたところによれば、まだまだ課題も残されている。
まず、12月に本数が伸びたのは、ダウンロード配信サービス“Steam”で、他社のゲームとともに5ドルでパック販売されたことによる影響が大きい。本作の定価は20ドルであるのに対して、パック販売による売り上げはごくわずかにすぎなかった。そして「5ドル払えば『ルセッティア』が手に入る」ためパックを買った人が多いことから、最初から5ドルで売ればよかったんじゃないかという悔いも。また、開発元EasyGameStationの取り分をのぞけば、同社に入ってくる金額は決して大きくはない。
さらに市場を広めるために、英語吹き替えの追加やコンシューマ機への移植も検討しているが、吹き替えはクオリティが重視されるため、1万〜1万5000ドルの予算が必要。コンシューマ機への移植は、2月末に開かれる開発者のカンファレンス“GDC 2011”での感触と、開発キットの費用、新ハードの動向も見据えて判断するという。いずれにせよ予算の都合で、英語吹き替えとコンシューマ機への移植の両方を同時に実現することはできなさそうだ。
しかし、ともかくヒットのおかげで会社の財政事情はだいぶラクになったそう。新たなヒット作を求めて、もう1人の創設者であるロビン・ライトウィリアムズ氏が日本のコミケット79を訪れて、大勢の開発者と会ってきたほか、次回のコミケにも行く予定。日本の同人ソフト開発者の間での知名度も上がり、「一緒に組みたい」という声が届いているという。
(中島理彦)
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Recettear (C)2007-2010 EasyGameStation. Licensed by Carpe Fulgur LLC. |
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