国際【国際情勢分析 矢板明夫の目】相次ぐチベット僧侶自殺を憂う+(1/3ページ)(2011.11.26 12:00

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【国際情勢分析 矢板明夫の目】
相次ぐチベット僧侶自殺を憂う

2011.11.26 12:00 (1/3ページ)国際情勢分析

 中国四川省西部などのチベット人居住地域で3月以降、中国当局の民族・宗教弾圧に抗議するため、チベット仏教の僧侶の焼身自殺が急増している。背景には、近年の中国の国力増強に伴って国際社会によるチベット支援の力が弱まったことや、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(76)が政治的ポストから引退したなどを受け、将来への絶望感が広がっていることがある。このままチベット人と中国当局の対立が今後さらに深まれば、若者たちがテロなどの暴力行為に走る可能性もあり、懸念の声が上がっている。

弱まる国際社会の支援

 チベット僧侶による自殺が多発したのは、四川省西部のチベット自治区と隣接するアバ県など。チベットを支援する国際団体「自由チベット」などによると、ある35歳の尼僧が今月3日に街の大通りで、「ダライ・ラマをチベットに戻せ」などと叫び、自らの体に火をつけた。10月17日に20歳の尼僧、9月下旬に2人の10代の僧侶も同じように自殺した。3月以降、同じ地域で焼身自殺を図った僧侶は少なくとも11人に上る。

 外部との情報がほとんど遮断されているチベット自治区内の寺院でも同様の自殺事件が相次いでいるとの噂もあるが、確認がとれていない。一連の自殺について、中国政府関係者は「インドのチベット亡命政府の指示を受けたもので、姿を変えたテロだ」と非難している。同時に、自殺者の同僚僧侶に対し「自殺をそそのかした」などの罪を問い、厳しく処罰している。8月に起きた焼身自殺事件で、死亡した僧侶と一緒にいた2人の僧侶は、それぞれ懲役13年と10年の判決を受けたと国営新華社通信が報じた。

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