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放射能とはなんですか?
放射線を出すものです、放射能から放射線がでます。

放射線とはなんですか。
光みたいなものです。目には見えません、光も,全部が目には見えるものでは有りません。たとえば、紫外線が目に見えない光です。ですから、放射線は紫外線みたいなものです。

放射能はどうして0になるのですか?
放射能の量は時間の経過と共に、その量が減っていきます。そして最終的には量が0になります、その際,その減り方が早いものと遅いものがあります。病院内で診療に使われる放射能は、早く減るもの(減り方の早いもの)で、ほとんどが数日で(一部例外的に数週間で)量が0になります。もともとの量が微量であることに加えて、このように短期間で量が0になるものですから、ヒトや環境に全く影響を与えないわけです。

そうはいっても、0になるまでの間、放射線が出ているわけですから、心配ないと言われても不安が解消されないのですが。
少し具体的に全く問題無い(心配ない)ことを説明させていただきます。

シーベルトと言う単位(Sv)
放射線が人間の身体に与える影響の単位を"シーベルト"(Sv)と言う単位であらわします。 1シーベルトの千分の一が1ミリシーベルト、1ミリシーベルトの千分の一が1マイクロシーベルトです。

自然界にも放射能がある。実は,食べ物や我々の身体の中にも放射能がある。
我々人間は、自然界からの放射能(自然放射線)によっても被曝します。我々は、年間宇宙線から0.3、土壌から約0.4、食物から約0.4、空気中に含まれているラドンから約0.4の計1-1.5ミリシーベルトの被曝を受けています。また、我々身体の中にも放射能を有する元素(カリウム,水素炭素など)があり、この元素により年間約0.5ミリシーベルトの被曝をしています。このような自然界からの放射能および我々自身の体の元素による被曝は、年間合計1.5-2.0ミリシーベルトですが、この量で全く我々の身体に問題はなく、環境にも全然問題が無い事が知られています。ちなみに、テレビからも放射線が出ていますので、テレビを見ていますと年間10マイクロシーベルト(0.01ミリシーベルト)被曝することになります。このようなわけで、我々人間は何らかの放射線・放射能に囲まれており、放射線・放射能のない世界では生きていくことが出来ません。

どれくらいの被曝線量で実際に身体に障害が起こるのか?
じつは、医師が放射線を使って患者さんの診療を行う場合、一番気をつけることは妊娠初期のお母さんの検査です。その際,胎児への影響、すなわち胎児奇形が起きないかということです。胎児奇形が最も少ない量で生じる障害の例です。幸い,胎児奇形もある一定の量以下では起きず,100ミリシーベルト以下の量の被曝では、胎児奇形を全く心配する必要はありません。なお、我々身体の血液の変化は250ミリシーベルト以上、脱毛は3000ミリシーベルト(3シーベルト)以上、皮膚の変化は5000-10000ミリシーベルト(5-10シーベルト)以上の量で生じることが知られています。ちなみに全身に一度に4000ミリシーベルト(4シーベルト)以上被曝しますと骨髄機能不全による死に至ることになりますが、病院ではこのような量まで被曝することはまずありません。自然放射線被曝のところでも書きましたが、健康に心配を与え環境に影響を及ぼすのは、ある一定量(100ミリシーベルト)以上の被曝で起きることであり、100ミリシーベルト以下であるなら全く心配ないと言うことです。

病院で放射線・放射能を使う放射線科医や放射線技師、看護師さんたちは、どれくらい被曝しているのですか?
医師や技師、看護師は一年間にどれくらい被曝しているか測定していますが、ほとんどが1ミリシーベルト以下の被曝です。どんなに多い場合でも、2-3ミリシーベルトです。実は、法律によって放射線・放射能を扱う医師・技師・看護師は年間20ミリシーベルトを超えないように、また一般人は1ミリシーベルト(自然放射線による被曝、病院での診療を受けたことにより生じた被曝を除く)を超えないように定められています。したがって、病院では、定められた法律をきちんと遵守しているのです。
参考資料放射線業務従事者の職種別平均線量当量