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「コンサルタントの語源をたどると、共に考え意思決定を助けるもの、となる。つまりコンサルタントは、企業の意思決定によい影響を及ぼせるかどうかで価値が決まるのです」。こう語るのは、現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門ビジネススクール教授である三谷宏治氏。三谷氏は1987〜96年まではボストンコンサルティンググループ、96年から2006年までアクセンチュアで通算19年間、経営コンサルタントとして活躍。03〜06年まではアクセンチュア・戦略グループの統括エグゼクティブ・パートナーを務めた人物。いわゆる「トップコンサルタント」である。 |
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それではITコンサルタントの価値とは何か。三谷氏はプロジェクトのフェーズによって、ITコンサルタントに求められるものは変わるという。「ITの最大の意思決定のポイントは『要件』にある。例えば企画フェーズにおけるITコンサルタントの価値は、“やるべきコト”と“できるコト”のトレードオフを考えながら、ITで実現すべき『要件』への適切な助言できるかどうかなのです」と三谷氏。 構築フェーズにおいてはどうか。三谷氏は、「ITコンサルタントの価値が問われる、4つの勝負どころがある」と言う。それは
「ITのプロジェクトでは多くの制限とステークホルダー(利害関係者)がある。そんな中で、まずは1〜3の枠組みや体制を構築すること。これができるかどうかで、大方の勝負は決まります。最後に、要件と予算、納期とのトレードオフを経営に対してきちんと提示できるか。これらでITコンサルタントの価値が決まるのです」(三谷氏) SEという立場では、上記のような価値を求められることはそれほどない。つまりSEとしての仕事にただ従事しているだけでは、ITコンサルタントへの転身は難しいといわざるを得ない。ではどうすれば、このような価値を顧客にもたらすITコンサルタントに転身できるのか。そのポイントを探るべく、三谷氏を司会に、SEから転身した3人の若手ITコンサルタントによるパネルディスカッションが行われた。次のPartではその模様をダイジェストで紹介する。 |
パネルディスカッションに参加したのは、ベリングポイントの鎌田幹生氏、フューチャーアーキテクトの末永敦氏、アバナードの山根隆弘氏。3人ともSEからキャリアチェンジし、今活躍中の現役コンサルタントである。 |
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前職はSIerのSEです。業務アプリケーションやシステム基盤系の設計を経験した後、システムの提案営業やそのための調査活動などに携わることになりました。しかし自分の提案が顧客の耳に届かなかったり、顧客の指摘する意図が理解できなかったりすることに悩むようになりました。仕事で知り合ったコンサルタントの方々と話をするうち、情報収集範囲や検討の視点、またコミュニケーションの手法などを改める必要があると気づきました。専門集団であるコンサルティング会社に身を置くことで自分の成長スピードを上げよう、と考えたのです。 |
私は地方の中堅SIerでプログラマとして、主に流通業向けの汎用機およびオープンシステム系のシステム開発に携わっていました。2000年にJavaのSIに特化した子会社に異動し、大規模なプロジェクトに参加。苦労して完成させたシステムの多くが、顧客の満足を得られない現実に直面し、悩みました。いろいろと考えた結果、その理由がビジネス側の人間とエンジニア側の人間の相互無理解による意思疎通不足にあることに気づきました。「自分がビジネスをわかるようになって、価値を生むシステムを作りたい」と思い、転身を決意しました。 |
私の前職は地元の大手電機メーカー系列のSI会社のSE。大手総合電機メーカー系列でしたので、比較的大きなプロジェクトにも携われましたし、新しいことにもチャレンジできました。例えば会社として初めてのマイクロソフトのPCサーバを使ったシステム開発に携わり、成功させることができたことなど、前職での9年間は、非常に短く感じるほど本当に有意義でした。得てきた知識をより広くの顧客に提供していきたいという思いが強くなったころ、コンサルタント業界を知りました。そこで自分の実力を試してみたいと思い、自分の知識が生かせるアバナードを選びました。 |
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具体的には思い出せません。ただ、スケジュールは管理し、必要と思う知識を習得したり、勉強したりする時間は確保していました。ですので、自由になる時間でしょうか……。 |
目先の評価ですね(笑)。先にも話したように、私は納期にギリギリ間に合うところまで粘って、何事も本質を理解してから仕事に取り組んでいました。仕事が遅いといわれることもありましたが、それにもめげませんでした。 |
先にも述べたとおり、私も技術的な得意技は他の人に譲り、今は業務効率を上げるようなチーム管理に取り組んでいます。ある意味、得意技を捨てたともいえますが、経験は十分残っています。むしろ新たな専門性を磨くことで得るものが増えていくことになるので、ステージが上がってきていると感じています。 |
最後にITコンサルタントへの転身を考えているSEに、三谷氏からのメッセージを紹介する。 | |
1.何にでも“なぜだろう”の心をもつこと 例えばなぜ1年は365日なのか、なぜ1年は12カ月なのか、なぜ1時間は60分なのか──。書いてあること、言われていることをうのみにするのではなく、普段の生活の中で、“なぜ“の心をもち、自分で考える姿勢を身につけることである。 2.企業事業のメカニズム、特にエコノミクス (経済合理性)を学び、追究していくこと 3.多くの人や事例と接して、 多様で本質的な論点や視点をもつこと 4.1〜3の心得を常に実行し続けること コンサルティング企業は担当する顧客の規模、提供するソリューションの形(総合型、業種特化型)によって、大きく4つに分かれるという。どのタイプの企業や職場で勝負したいのかじっくり考え、自分に合うITコンサルティング会社や職場を見分けることが必要なようだ。 |
このレポートに関連する求人情報です
- 仕事の概要
- マイクロソフト・ソリューションに特化したコンサルティング、システムインテグレーション
- 対象となる方
- IT業界でのキャリアアップを目指す方。IT業界に新たにチャレンジしてみたいと考えている方。
- 勤務地
- 首都圏 ※プロジェクトにより地方・海外も有
- 年収例
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戦略立案からITソリューション導入までの一貫した経営コンサルティング。 ※顧客の事業戦略立案、財務再構築、ビジネスモデルの再構築から業務改革、ITソリューション導入、システム・インテグレーション、組織と人の変革、システムの保守、業務の運用まで、上流から下流までのすべてのソリューションを提供します。続きを見る
中小・中堅企業から大企業まで、お客様の抱える経営上の課題を経営者の視点で共有し、お客様のビジネスの本質を理解した上で実践的な技術力とノウハウによる先進ITを駆使した情報システムを構築することで、課題解決を行うITコンサルティングサービスを提供しています。また、 グループ企業を中心として、「パッケージ&…続きを見る
マイクロソフト・ソリューションに特化したコンサルティング、システムインテグレーション。★2000年にマイクロソフトとアクセンチュアの戦略合弁会社としてシアトルで誕生。現在20カ国80拠点、約27,000人以上のプロフェッショナルを擁するグローバル企業です。続きを見る
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