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NARグランプリ2015 優秀馬選定委員会 選定経過 |
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NARグランプリ2015の表彰馬が、優秀馬選定委員会(委員14名、内1名は座長)で選定された。同委員会は、部門ごとに検討した後に票決する形で進められたが、以下は席上出された意見をもとに選定経過、選定理由としてまとめたものである。 |
【各部門最優秀馬】 2歳最優秀牡馬/アンサンブルライフ(浦和) |
全日本2歳優駿(JpnT)で3着と地方最先着を果たしたほか平和賞勝ちがあるアンサンブルライフ、同4着でハイセイコー記念に勝ったトロヴァオ(大井)、全日本2歳優駿は出走を取消したが鎌倉記念でアンサンブルライフを破るなど6戦6勝のポッドガイ(川崎)らが候補となった。最終的にはアンサンブルライフとポッドガイ2頭の争いとなったが、ポットガイの能力は高く評価されるものの、JpnTでの好走をより高く評価すべきとの声が大勢を占めた。 |
2歳最優秀牝馬/タイニーダンサー(北海道) |
エーデルワイス賞、北海道2歳優駿とJpnVを連勝したタイニーダンサーが全会一致で選定された。同馬は地方競馬の2歳牝馬の総決算である東京2歳優駿牝馬の勝ち馬モダンウーマン(川崎)との対戦でも3戦2勝と優勢であり、異論の余地はなかった。 |
3歳最優秀牡馬/ラッキープリンス(浦和) |
東京ダービーに勝ちジャパンダートダービー(JpnT)で地方最先着(3着)を果たしたラッキープリンスと、春は羽田盃、秋には地方競馬の全国交流として重要性を高めているダービーグランプリを制したストゥディウム(船橋)の2頭の争いとなった。ともに敗戦も多く直接対決も勝ったり負けたりの関係だったことから選定は難航したが、ダービーグランプリの価値は認めるものの3歳ダート最高峰の競走での好走を重視する意見が優勢であった。 |
3歳最優秀牝馬/ララベル(大井) |
関東オークス(JpnU)3着のトーセンマリオン(浦和)は年間未勝利で南関東内での比較でも上位とはいえないことから、地方全国交流で活躍したララベルとトーコーヴィーナス(兵庫)の2頭が候補として残った。2頭の比較では、やはり桜花賞、ロジータ記念でのララベル1着、トーコーヴィーナス2着という対戦結果は大きく、また、牡馬や古馬相手の好走も後押しとなって、ララベルが前年の2歳最優秀牝馬に続く連続受賞となった。なお、得票上は差がついたが、年間9戦のうち6戦を遠征して闘いグランダム・ジャパン3歳シーズンのチャンピオンとなったトーコーヴィーナスには、多くの委員から称賛の声があがっている。 |
4歳以上最優秀牡馬/ハッピースプリント(大井) |
浦和記念(JpnU)に勝ち、川崎記念4着、かしわ記念3着、帝王賞3着、JBCクラシック5着など年間を通じてJpnT競走で健闘したハッピースプリントが、川崎記念3着のサミットストーン(船橋)、マーキュリーカップ(JpnV)優勝のユーロビート(大井)、すべて圧勝で南関東地区重賞を5連勝したソルテ(大井)らをおさえ、全会一致で選定された。同馬は2013年に2歳最優秀牡馬(年度代表馬)、2014年に3歳最優秀牡馬に選定されており、3年連続の受賞となる。 |
4歳以上最優秀牝馬/サンバビーン(北海道) |
ノースクイーンカップとビューチフルドリーマーカップに勝ちグランダム・ジャパン古馬シーズン優勝のサンバビーン、スパーキングサマーカップに勝ち能力は最も高く評価されたブルーチッパー(大井)、しらさぎ賞勝ち馬でハンデの恩恵はあったもののクイーン賞(JpnV)で接戦の3着となったノットオーソリティ(船橋)、兵庫サマークイーン賞勝ちのほか園田金盃制覇など牡馬相手の地元重賞でも常に好走したエーシンサルサ(兵庫)の4頭が鎬を削ったこの部門。それぞれに推すべき理由があり直接比較する要素が少ないこともあって選定は難航した。1回目の投票では票が割れて過半数を得た馬がなかったため上位2頭による2回目の投票にもつれ込んだ結果、サンバビーンが選定された。同馬は、候補となった4頭のうち唯一他地区遠征があり、ビューチフルドリーマーカップ1着、レディスプレリュード(JpnU)5着と遠征先で結果を残したことも、票につながる要因となった。 |
ばんえい最優秀馬/キタノタイショウ |
最高峰であるばんえい記念を制覇したキタノタイショウがまず候補となったが、これに対抗する馬としてあがったのがセンゴクエースである。同馬は2歳時の2014年も8戦8勝で候補となったが、2015年はばんえい大賞典こそ競走除外となったもののイレネー記念、ばんえい菊花賞、ばんえいダービーの3重賞を制覇し、3歳競走においてはほぼ完璧な成績を残している。父ウンカイ、母サダエリコとともに父母子によるダービー制覇という偉業とあいまって同馬を強く推す声もあったが、最終的にはばんえい記念に北見記念のタイトルも加えたキタノタイショウの牙城は揺るがなかった。 |
最優秀短距離馬/ポアゾンブラック(北海道) |
ダートグレード競走で上位に入着したポアゾンブラックとタガノジンガロ(兵庫)の比較では、年間を通じてよりコンスタントに短距離馬としての活躍を見せたポアゾンブラックが上位とされた。過去、この部門の表彰馬はすべてダートグレード競走優勝、JRAの芝重賞競走優勝、JBCスプリント(JpnT)2着のいずれかの実績があり、その点では「該当なし」も考えられたが、ポアゾンブラックの成績は最優秀短距離馬とするに相応しいとの評価がされている。なお、南関東重賞5連勝のソルテについては、1600m未満の競走が1競走だったこともあり票は集まらなかったが、交流実績はなくてもそれに匹敵する成績と能力を示した馬をどう評価すべきかという問題提起となっている。 |
最優秀ターフ馬/該当なし |
JRAオープンの芝競走での勝ち馬がなく、盛岡の芝重賞競走の好走馬について検討された。近年、盛岡の芝重賞は南関東など他地区からの出走馬も増え、目標性も高まってレベルアップしているという評価はあったが、やはり過去の受賞馬との比較などから最優秀馬とするまでには至らないとの意見が大勢を占め、該当馬なしとなった。 |
【年度代表馬】 ハッピースプリント(大井) |
各部門最優秀馬を対象に1頭を選定する年度代表馬には、浦和記念(JpnU)を制したハッピースプリントが選定された。唯一のダートグレード競走2勝馬でありJRAを含めたカテゴリーチャンピオン(ダート2歳牝馬)であるタイニーダンサーも評価されたが、JpnUタイトルに加え、年間を通じてのトップレベルの競走での活躍が2015年の地方競馬を代表するに相応しいとしてハッピースプリントを推す声が圧倒している。。同馬は2歳時の2013年に続いて2回目の年度代表馬受賞。 |
【ダートグレード競走特別賞】 ホッコータルマエ(JRA) |
地方競馬で実施されたダートグレード競走での成績を対象として調教国や地方・中央の所属に関わらず選定するこの部門、2015年は傑出した存在がなく、多くの馬がそれぞれに強調点を備えて候補にあがった。JBCクラシックを楽勝したコパノリッキー、唯一のJpnT2勝馬であるホッコータルマエ、東京大賞典(GT)でこの2頭を破ったサウンドトゥルー、毎年地方競馬で活躍し9歳の2015年もかしわ記念(JpnT)を制したワンダーアキュート、3歳馬として初めてJBCレディスクラシックを勝ったホワイトフーガ、2歳ダートチャンピオンとなったサウンドスカイ、他にも3歳ダートチャンピオンのノンコノユメ、JBCでクラシック、スプリントを通じて初めて牝馬で優勝したコーリンベリーも席上では名前が上がっている。中では、川崎記念、帝王賞とJpnTに2勝し、併せて敗れた東京大賞典も自ら先行馬を捉えにかかる役割を演じての2着で存在感を発揮したものと評価され、ホッコータルマエに軍配があがった。 |
【特別表彰馬】 オグリローマン(元競走馬・繁殖牝馬) |
15頭の産駒すべてが地方競馬で勝ち鞍をあげている名繁殖牝馬ホワイトナルビーの12番目の産駒として1991年に稲葉牧場で生を受けたオグリローマンは、笠松に所属した2歳時に7戦6勝、中央競馬に移籍した3歳時には桜花賞に優勝し、兄オグリキャップが未登録のため果たせなかったクラシック制覇を実現した。1995年に生まれ故郷で繁殖入りしてからは10頭の産駒を競馬場に送り出し、2015年死亡。同馬の馬主は、ホワイトナルビーの全産駒をデビューさせるなど馬主活動を通じて地方競馬に大きな足跡を残した小栗孝一氏で、同氏もまた2015年に逝去された。地方競馬出身馬として兄に続いて中央競馬で活躍したオグリローマンへの称賛と、小栗孝一氏の長きにわたる地方競馬への貢献への感謝の意も含めて、特別表彰馬に選定されたものである。なお、母ホワイトナルビーは1996年に同賞を、兄オグリキャップは特別表彰馬の制度ができる以前の1990年のNARグランプリで特別賞を受賞している。 |
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NARグランプリ2015 優秀馬選定委員会 選定委員 (敬称略・順不同) |
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