19年ラグビーW杯:運営費、開催地分担金…課題は山積

毎日新聞 2015年03月03日 00時09分(最終更新 03月03日 02時16分)

 2019年開催のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開催地となる12会場が2日決定し、4年半後に控えた大会の態勢が決まった。ワールドラグビーのベルナール・ラパセ会長は「アジアで新しいファンを引き入れ、ラグビーを成長させていくビジョンは(日本と)共有している」と語った。しかし東京五輪の組織委会長も務める森喜朗・大会組織委員会副会長は「ラグビーW杯の話をすると、『あるんですか』とも言われる」と、周知が十分でない実情を嘆く。

 認知度の向上は、組織委の運営の上でも欠かせない。放映権料やスポンサーからの収入はすべて国際統括団体のワールドラグビーに入る仕組み。国内スポンサーを募ることも認められていないため、組織委は大会運営費を賄おうとチケットの売り上げ目標を300億円に設定した。

 1枚平均が2万円と仮定しても、1試合あたり3万人以上の入場者が必要な計算。昨年11月に2万人超が入った日本代表戦でも最高額が1万円だったことを考えれば実現は厳しい。森副会長が「(2020年の)五輪は東京中心だが、ラグビーは日本中で行われる」と言うように、拠点が全国に広がったことも生かして集客に努めなければならない。

 各開催地には、12会場の総額で36億円に及ぶ組織委への分担金が課される。さらに会場の施設整備など重い負担がのしかかる。組織委は開催地の負担を軽減しようと、W杯宝くじを発行して組織委に入る補助金を、施設整備に充てるよう配分する方針だ。組織委自体も開催保証金9600万ポンド(約177億円)をワールドラグビーに支払う必要があり、大会収支は厳しい。

 組織委の嶋津昭事務総長は「サッカーは02年W杯の後、うまくビジネスにつなげた。ラグビーもそうならなくては」と語る。開催を将来の発展につなげる取り組みも不可欠。ラグビー界が抱える課題は山積している。【鈴木英世】

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