野球:ソウル市に学ぶ「21世紀最悪のドーム球場」の作り方

「騒音苦情」「北京五輪金メダル」「プロ野球人気」で設計変更8回工事費7倍

 アマチュア用球場からプロ用球場に、一般球場からドーム球場に…。韓国初のドーム球場「高尺スカイドーム」は8回にわたる設計変更を経て完成した。

 ソウル市が東大門球場(2007年閉鎖)に代わるアマチュア用球場を同市九老区高尺洞に建設することを決めた2007年3月。「高尺洞球場」は当初、ドームでなく一般的な野外球場として計画された。しかし、球場で発生する騒音や照明公害に関して住民から苦情が寄せられると、ソウル市は半分だけ屋根で覆われたハーフドーム球場にすることにした。同年8月、ソウル市は六角形で半分だけ屋根があるハーフドームの鳥瞰図=図1=を発表した。その後に選定された設計・施工会社は09年2月に流線型のハーフドームになった鳥瞰図=図2=を正式発表した。

 ところが、ソウル市は2カ月後の09同年4月に突然、ハーフドームを完全なドーム型に再変更することにした。08年の北京五輪金メダル、09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準優勝などで野球への関心が高まったことから、設計を再度変更したのだ。

 当時はドームを上からつるマスト方式=図3=、空気を吹き込むエアドーム方式など4案が登場した。5カ月後の同年9月、ソウル市は鉄骨などを組んだ屋根をふたのようにかぶせた方式=図4=に最終決定した。

 13年に高尺ドームがアマチュア用球場からプロ用球場に変更された際も、数回の設計変更があった。観客数が大幅に増えた上、プロ野球の試合をするには内部施設の充実が必要だったためだ。13年8月と14年6月にも施設の改善作業が行われた。

 このように綿密に検討されることもなく、その場しのぎで行われた行政判断の代償は大きかった。8回もの設計変更や、追加の交通アクセス改善対策などで当初予算408億ウォン(約43億円)の約7倍に達する合計2713億ウォン(約290億円)の資金がつぎ込まれた。ところが、それにもかかわらず「手抜き設計」「21世紀最悪のドーム球場」と酷評されている。

キム・ヒョイン記者 , チェ・ヒミョン記者
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