アニメーション神戸賞
アニメーション神戸賞

 世界的に評価が高い国内の商用アニメーションについて、優れた作品やクリエーター、また長年にわたってアニメーション業界に貢献した方らを表彰する「アニメーション神戸賞」各賞の受賞者・受賞作品が決定しました。
 今回は、先日、長編アニメ作品制作からの引退を表明された宮崎 駿監督が特別功労賞を受賞されるなど、アニメーション業界で話題となった人・作品が受賞しております

「第18回アニメーション神戸 審査委員会」委員(敬称略・順不同)

【委員長】

吉岡 勇 

(株)学研パブリッシング 第三出版事業部 アニメ出版事業室
アニメディア編集チーム統括編集長

【委 員】

櫻井 孝昌
松下 俊也
中村 公彦
水野 寛
安廣 哲幸

コンテンツメディアプロデューサー
(株)徳間書店 アニメージュ編集部 編集長
(株)KADOKAWA アスキー・メディアワークス 週刊アスキー編集部
(株)KADOKAWA 角川書店 第二編集局第一雑誌編集部 ニュータイプ編集長
神戸市 企画調整局 デザイン都市推進室長


「第18回アニメーション神戸 審査委員会」は、上記審査委員会メンバーの出席のもと、平成25年8月21日(水)15時から、東京都内で実施し、受賞者及び受賞作品を選出しました。


審査委員会の総評

審査委員長 「アニメディア」編集長/吉岡 勇

 1963年の『鉄腕アトム』放送開始が、日本のテレビアニメ放送の本格的な幕開けといわれます。それから50年――。2013年は、日本アニメにとって記念すべき年なのです。この半世紀、日本アニメは快進撃を続けてきました。今では世界中のファンが日本アニメ作品を愛しています。日本アニメ人気は国境を越え、まさに"ボーダーレス"。そして近年のアニメ界には、もうひとつの"ボーダーレス"があります。試聴環境の"ボーダーレス"です。アニメ作品の公開・流通のフォーマットが多様化し、従来のモデルでは収まらなくなってきているのです。このアニメーション神戸賞の作品賞の部門分けが今年からなくなったのもそのためです。ボーダーレス化は大きなチャンスではありますが、容赦ない作品選別が行われることも意味します。大きな変化の渦の中、消費され続けていく作品群。その中で輝くのは、「他にはない魅力」を持った作品です。今回表彰させていただいたのは、そういった作品、またそういった作品を作り続けてこられたクリエイターの方々です。

アニメーション神戸賞・個人賞

みずしま つとむ

水島 努(監督)

プロフィール
 1965年生まれ。長野県出身。1986年シンエイ動画入社。1999年劇場短編「クレしんパラダイス!メイド・イン・埼玉」で初監督。2004年にフリー。携わった主な作品に、「ガールズ&パンツァー」「侵略!イカ娘」「おおきく振りかぶって」「xxxHOLiC」「よんでますよ、アザゼルさん。」「じょしらく」「げんしけん二代目」など。




◆授賞理由◆

審査委員 週刊アスキー編集部/中村 公彦

 "アニメで町おこし"の成功例として新聞・テレビのニュースで取り上げられるなど、大きな話題となった『ガールズ&パンツァー』。水島監督の初完全オリジナル作品ということでいろいろと困難なこともあったと思いますが、音に映像にこだわり抜いた結果、来年には劇場版も決定するなどすばらしい成果を収められました。テレビアニメ監督デビュー作品である『ジャングルはいつもハレのちグゥ』や『侵略!イカ娘』などのギャグアニメから、『BLOOD-C』、『Another』といったシリアス物、『おおきく振りかぶって』、『ガールズ&パンツァー』のような青春物まで、さまざまなジャンルの作品を手がけ、作詞や作曲も行なう水島監督。その多才さとますますの活躍を期待して、個人賞を贈らせていただきます。


アニメーション神戸賞・特別賞

かわもり しょうじ

河森 正治(アニメ監督、メカデザイナー、ビジョンクリエイター)

プロフィール
 1960年生まれ。慶應義塾大学在学中からデザインや企画の仕事をはじめ、ダイアクロン(後の「トランスフォーマー」)のデザインに参加。82年テレビアニメ『超時空要塞マクロス』では原作、完全変形メカ、"バルキリー"のデザイン、脚本、絵コンテと担当しながら作品をヒットへ導く。劇場作品『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』で監督デビュー。以降も、『イーハトーブ幻想 KENjIの春』、『地球少女アルジュナ』、『創聖のアクエリオン』、『マクロスプラス』、『マクロスF』などの作品で原作、監督、総監督などを務める。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』、『交響詩篇 エウレカセブン』、ビデオゲーム「アーマード・コア」、SONYのエンタテイメントロボット「AIBO(ERS-220)」や日産のCMに登場した「パワード・スーツ デュアリス」のメカデザインなど手掛ける。
近年では、『劇場版マクロスF』、『アクエリオンEVOL』、『AKB0048』。


◆授賞理由◆

審査委員 「ニュータイプ」編集長/水野 寛

 若くしてアニメの世界に飛び込み、30年以上にわたって第一線に立ち続ける河森正治さん。ここ数年は、精力的に新作アニメを発表されており、「マクロスF」「アクエリオンEVOL」「AKB0048」など、そのほとんどがオリジナルのTVアニメ作品です。そんなことができるクリエイターは、今や河森さん以外にそうそう見当たりません。デザイナーとしても「エウレカセブンAO」「超速変形ジャイロゼッター」などに参加。細部にも徹底的にこだわって描き起こされたメカは、河森デザインというひとつのブランドになっています。


アニメーション神戸賞・特別賞

プリキュアシリーズ製作チーム

©ABC・東映アニメーション

作品概要
 2004年2月に、ABC・テレビ朝日系列で放送が始まった『ふたりはプリキュア』から、10年続く、東映アニメーションオリジナル原作の変身ヒロインアニメーション。普通の女の子が妖精の力を借りて伝説の戦士「プリキュア」に変身し、様々な敵と戦いながら、困難を乗り越えて、立ち向かう勇気や友情を育む女児向けの人気シリーズ。 今年2月から放送されている、シリーズ10作目『ドキドキ!プリキュア』は、「愛」と「愛から生まれるドキドキ!」がテーマ。成績優秀・スポーツ万能な生徒会長の相田マナ(キュアハート)を始めとする5人のプリキュアが、トランプ王国からやってきた妖精と、不思議なアクセサリー"キュアラビーズ"の力を借りて、プリキュアに変身し、地球侵略とキングジコチューの復活を企てる、ジコチューと戦う。


◆授賞理由◆

審査委員長 「アニメディア」編集長/吉岡 勇

 今年10年目に突入したプリキュアシリーズ。この10年間を通して、つねに女の子たちの憧れの存在であり続けてきました。第1作の開始当時6歳だった女の子は、今15歳。かつて夢中になって応援したプリキュアのキャラクター名や決め台詞を今でも諳んじ、主題歌を歌える子も多いことでしょう。「初めて好きになったアニメはプリキュア」そんな声は多いはずです。プリキュアは、がんばる女の子たちの物語。プリキュアの世界は、夢と希望、ファイトと友情、そして愛の世界です。"アニメ世界の入り口"にふさわしい華やかさ、力強さ、テーマ性をもった作品といえます。多くの子供たちをアニメの世界にいざない、アニメファンを育て続けてきた「プリキュアシリーズ」。これからも、多くの子供たちに、アニメのおもしろさ、美しさ、感動を伝えてくれることと思います。


アニメーション神戸賞・作品賞

「進撃の巨人」

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

作品概要
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は
高さ50メートルの巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた・・・。
まだ見ぬ壁外の世界を夢見る10歳の少年、エレン・イェーガー。
エレンは仮初めの平和に満足し外の世界へ出ることを諦めた人々に違和感を覚える。
彼らを「家畜」と呼ぶエレン。エレンを「異物」と感じる人々。
だが、壁をも越える超大型巨人の出現により、エレンの「夢」も人々の「平和」も突如として崩れ去ってしまう・・・。


◆授賞理由◆

審査委員 「アニメージュ」編集長/松下 俊也

 今回の作品賞に関しては、審査はきわめて和やかに進みました。満場一致ですんなり『進撃の巨人』に決まったからです。いつもは多少なりとも議論があります。「この作品を神戸賞に推す意味は」とか「なぜBではなくAなのか」とか。しかし、今回はそんな声はいっさい出ませんでした。それくらい、誰もが『進撃の巨人』が受賞にふさわしいと認めていたのです。理由は、その気になればいくらでも挙げられます。例えば、立体機動の見事な表現に象徴されるアニメーションとしてのクオリティー、BD&DVDの突出した好成績、海外での人気etc. でも、正直そんな理屈はどうでも良くて、アニメファン以外の人が観ても楽しめる、普遍的な面白さを備えていたことが何よりすばらしかったと思います。まっとうに作られた面白い作品が正しく評価される――ドラマ界の『あまちゃん』や『半沢直樹』の流れに連なる作品が、アニメ界では『進撃の巨人』だと言えるでしょう。


アニメーション神戸賞・作品賞

「言の葉の庭」

©Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

作品概要
"愛"よりも昔、"孤悲(こい)"のものがたり。

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は学校をさぼり、日本庭園で靴のスケッチを描いている。そこで出会った、謎めいた年上の女性・ユキノ。
やがて二人は約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、心を通わせていくが、梅雨は明けようとしていた…。



◆授賞理由◆

審査委員 コンテンツメディアプロデューサー/櫻井 孝昌

 本作を観ると、日本の日常がいかに美しいかといいうことに誰しもが気づくだろう。身近にあるものの美しさ、大切さを、往々にして我々は見失ってしまう。
 街があって、風景があって、人は人と出会う。大都会の隠れ家のような公園で偶然出会った男女。自分の居場所を見失ってしまった女性と、靴職人になる夢を抱えた少年。二人が心を通わせていく微妙な心の機微が、萌える緑の背景をバックにていねいに描かれていく。新海誠監督作品ならではの背景美術の美しさが、その1シーン1シーンを彩っていく。梅雨をこれほど美しく描いた映画が日本にかつてあっただろうか。
 アニメという表現方法を最大限にいかした本作は、世界中の人に明日生きていく力を与えていくだろう。そして、同時に日本という国の美しさも。


アニメーション神戸賞・主題歌賞(ラジオ関西賞)

「紅蓮の弓矢」(歌:Linked Horizon)(「進撃の巨人」前期オープニング曲)

作品概要
 2004年にデビューした幻想楽団「Sound Horizon」を主宰するサウンドクリエーターのRevoが、他作品とコラボして音楽活動する際のプロジェクト名として、昨年8月に始動をした「Linked Horizon」。第2弾のコラボ先はテレビアニメ「進撃の巨人」、9年に渡り音楽活動をしてきたRevoにとって初めてのアニメのオープニング主題歌。累計発行部数2300万部を超える大人気コミックの原作の世界観にこだわり、荒木監督・原作諫山先生と何度も打合せを重ね、描き下ろしたのが前期オープニング主題歌「紅蓮の弓矢」と後期オープニング主題歌「自由の翼」の2曲を含むマキシシングル「自由への進撃」である。
 今作はオリコン週間シングルランキングで初登場2位に入り、今年発売のTVアニメタイアップシングルでは1位の売り上げを記録、発売翌月には出荷枚数が25万枚を超えプラチナディスクを獲得するなど、快進撃を見せている。


◆授賞理由◆

審査委員 ラジオ関西「青春ラジメニア」パーソナリティ/岩崎 和夫

 今回の主題歌賞は、いつもとはちょっと違った波乱がありました。アイドルグループがアニメになったことで、その歌が沢山支持を集めたのです。アニメとアイドル、この最強の組み合わせが話題を呼ぶのは当然かもしれません。しかし、その支持を上回ったのが、内容が強烈でアニメそのものも大ヒットした、進撃の巨人の紅蓮の弓矢でした。
本屋さんの一般ベストセラーが並ぶ入り口にコミックスが平積みされていて、あの不気味な巨人がディスプレイされている!(笑)銀の匙が横にあったりしましたが、マニアックなものも並ぶようになったのは喜ぶべきでしょうね。
主題歌は、元々独特の世界観があって多くのファンを持つ方が唄われたのですが、それがアニメとも絶妙にマッチしていて、理想の主題歌となっていました。もう、これしかないだろうという、ファン以外も納得の選出だと思います。

アニメーション神戸賞・特別功労賞

みやざき はやお

宮崎 駿(アニメーション映画監督)

プロフィール
 1941年、東京生まれ。
 1963年、学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。1985年にスタジオジブリの設立に参加。代表作は「風の谷のナウシカ」(1984)「天空の城ラピュタ」(1986)「となりのトトロ」(1988)「もののけ姫」(1997)「千と千尋の神隠し」(2001)「ハウルの動く城」(2004)「崖の上のポニョ」(2008)など。「千と千尋の神隠し」で、第52回ベルリン国際映画祭金熊賞、第75回アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞を受賞し、第62回ベネチア国際映画祭では栄誉金獅子賞を受賞。2012年、文化功労者に選出された。
 また、2001年に開館した三鷹の森ジブリ美術館では企画原案・プロデュースを担当し、館主を務めている。
 2013年7月20日に監督最新作「風立ちぬ」を発表した。


◆授賞理由◆

審査委員長 「アニメディア」編集長/吉岡 勇

 目を閉じれば、あの主人公がいる。ひたむきな少女。あきらめない少年。あなたの心にも、きっとあの主人公が住んでいるに違いありません。日本の、そして世界の子供と大人が、主人公とともに空を飛びました。高く低く――遮る物なくどこまでも突き抜けてゆくあの感覚。爽快でどこか不安なあの感覚を、映画館の闇の中であなたも味わったことでしょう。画面に漲る生命力、清新な大気。宮崎作品は鮮烈な身体感覚を伴う「体験」にほかならず、この「体験」を胸に刻んだ人は世界にあふれています。このたびの「公式引退の辞」に接し、今一度、おのれの心の中の主人公にひそかに呼びかけてみた方も多いのではないでしょうか。
 宮崎監督の赫々たる業績については、くだくだしく紹介するまでもありません。アニメーション表現の新たな地平をひらき、いわゆるアニメファン以外の層からも大きな支持を獲得し、空前の興行成績を積み上げ、アニメーションに対する世間の認識を一変させました。
 このたび宮崎監督に特別功労賞をお贈りできることは、この上ない喜びです。

第18回アニメーション神戸賞 対象・審査基準

■アニメーション神戸賞 個人賞

 平成24年9月から平成25年8月の期間中に、日本でアニメーションの制作にかかわり、アニメーションの創作活動を豊かにし、斬新な表現や独創的な活動などを行うことによって今後の活躍が期待できる個人などに与えられる。


■アニメーション神戸賞 特別賞

 長期にわたる活動によって日本のアニメーション界に貢献した個人・団体などに与えられる。


■アニメーション神戸賞 作品賞

 平成24年9月から平成25年8月の期間中に、日本の劇場、地上波テレビ、衛星放送、CATV、Webなどで上映・放送された商用アニメーション作品(ただし、再放送を除く)。また、アニメーションを効果的に活用したゲーム作品、ビデオディスク作品、携帯電話向け動画などの商用コンテンツも対象とする。
 表現手法として、セルアニメーション、クレイアニメーション、3DCGアニメーション、またはそれらを複合的に利用した手法など表現手法は限定しないが、エンターテインメント作品に限る。高い作品性、企画の新規性、オリジナル性、デジタル技術の応用などの新しい試みによる市場創造性を有する作品を特に高く評価する。また、国内制作・海外制作を問わないが、国内の人材育成に寄与する作品をより高く評価する。


■アニメーション神戸賞 主題歌賞(ラジオ関西賞)

 平成24年7月から平成25年6月の1年間に、公開されたすべてのアニメーション作品の主題歌・挿入歌・ エンディング曲などを対象とする。
 アニメーション作品の中の一部で使用された曲や劇中曲、インストゥルメンタル曲、ゲームソフトの主題歌なども含む。一般投票を行い、得票数の多い5作品をノミネート作品とし、その中から実行委員会で決定する。そのアニメーション作品のために作られ、作品との相乗効果が高く、視聴者の心に強く訴えかける楽曲をより高く評価する。


■アニメーション神戸賞 特別功労賞

 長期にわたり国内外で顕著な業績をあげられ、日本のアニメーション界の発展に多大な功労があった個人などに特別に与えられる。



制作依頼作品 神戸観光PRアニメーション

■第17回アニメーション神戸
 オリジナル・アニメーション最優秀賞
 山北 麻由子 様 制作「二人の街」

■第16回アニメーション神戸
 オリジナル・アニメーション最優秀賞
 内藤 日和 様 制作「in KOBE」

■第15回アニメーション神戸
 オリジナル・アニメーション最優秀賞
 びいはん 様 制作「LUMO」

■第14回アニメーション神戸
 オリジナル・アニメーション最優秀賞
 山元 隼一 様 制作「神戸と私」



協賛企業・団体