「大賞に選ばれたと連絡が入ったときは、思わず『やったなー』と思いました」と喜びを語るのは、創作児童話『のどしろの海』を投稿し、昨年10月に第9回小川未明文学賞の大賞を受賞した奥山一夫さんです。 この作品は、知床の大自然を舞台に繰り広げられる勇壮な本格冒険物語。全国から449編の応募作品の中から選ばれました。 「児童文学界の最高権威の賞である小川未明文学賞には、毎年多くのプロの作家たちが応募します。その中で自分の作品が選ばれ評価されたことに、とても感謝しています」と微笑む。 東京で行なわれた受賞式では、選考委員の方から「61才になってからの大賞は前代未聞であり、これから児童文学作家を目指す後輩たちの良い励みになる」と温かい言葉をかけてくれたそうです。 奧山さんは、この作品のほかに「木の上の少年」で講談社児童文学新人賞で佳作に入選。その後も書き下ろしの作品「サケを待つ少年」がテレビドラマ化されたほか、劇画シナリオの公募でも入賞した実績を持っています。 今年の7月には槍昔を舞台にした、ちょっとセンチメンタルな少年少女の物語『夏色のかなしみ』が複数の作家を集めた短編集として出版される予定。
奧山さんに児童文学の道を選んだ理由を聞くと「子どものころ、初めて読んだ『ロビンソンクルーソー』との出会い。この本で生きることの大切さと勇気というものを学びました。このことがきっかけで小説を書きたいと言う気持ちが膨らんできたんです」と作家を志した原点だと語ります。 忙しい合間をぬって・ギターを弾くのが唯一の息抜きと語る奥山さん。 子ども好きな笑顔が印象的。 最後に子どもたちにメッセージをお願いすると「愛と信頼と勇気を大切にしてもらいたい」とご自身の人生経験の中で格言を作り上げた言葉を贈っていただきました。
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