赤貝の夏場の禁漁期が終わって、ようやく宮城県産のものが届きました。宮城の赤貝は、香りが高く、とても高級。流通している9割近くが輸入なので、国産は貴重なのです。
宮城の赤貝は、通称「本玉」。韓国や中国産の赤貝は「バチ玉」と呼ばれ、本玉の半額程度なのだとか。昭和30年以前は千葉県の検見川(けみがわ)で獲れたらしいのですが、今はほとんど漁獲されていないそうです。
さて、赤貝ですが、お寿司のネタかお刺身での姿でしか見たことがない、という方が多いかと思います。赤貝は周りに毛が生えた二枚貝。中を開けると真っ赤な水が出てきます。この水は貝の血液の中にヘモグロビン系の赤い血色素を持つからだそうです。ってことは血……?ただの赤い水だと思ってた……。
貝をむいたあと、この水に漬けておくと、しばらくは生きたままでいるそうです。鮮度を保つために捨てないように。キレイに流水で洗ったら、赤貝の身を半分に切って、汚れているところや肝、紐を削ぐようにはずします。身の端に切り込みを入れて、バチンとまな板に叩き付けたら、身がキュッと締まり、お刺身の出来上がり。
紐は包丁でしごいて汚れを落としたら食べられます。宮城産の赤貝、ぷりっとしてあま〜い! 正直、私はそんなに得意ではなく、お寿司屋さんで自分からオーダーしたことがなかったのですが、国産赤貝、関心しました! 今まで食べていたのはなんだったのかしら?
この宮城の赤貝、震災前には品質の良さからブランドを商標登録しようとしていたとか。
宮城まで赤貝を食べに行って、少しでも漁業復興の力になれたらいいですね。数少ない国産ブランドをみんなで盛り上げられたら、と思います。
東京都出身。趣味の旅行や留学中に出会った外国の味を、日本でも簡単にアレンジできるレシピを紹介すると共に、旅と食の楽しさを様々なターゲットに向けて提案している。2009年ASEAN食の親善大使に就任。現在は料理教室を中心に活動する傍ら、 築地斉藤水産にて修行する日々。