インド・バングラデシュ:飛び地交換、国境画定で合意

毎日新聞 2015年06月06日 22時05分(最終更新 06月06日 22時47分)

 【ニューデリー金子淳】インドのモディ首相は6日、バングラデシュの首都ダッカでハシナ首相と会談し、両国の国境付近に点在していた飛び地領土の交換などを通じて、国境を画定させることで正式に合意した。国境画定を巡っては両国が1970年代から交渉を続けていた。インド側は、バングラデシュで中国の影響力が増す中、長年の懸案事項を解決し、関係強化につなげる狙いがあるとみられる。

 インドメディアなどによると、両国はそれぞれ自国側にある相手国の飛び地を接収する。飛び地はバングラデシュ側に111カ所(総面積約6900ヘクタール)、インド側に51カ所(同約2800ヘクタール)あり、計5万人以上が暮らす。飛び地の住民は、その場に残って相手国の国籍を取得するか、自国領へ移住するかを選べる。

 両国は74年、領土交換の実施で合意。2011年にはインドのシン前首相とハシナ氏が国境画定に向けた議定書に調印した。先月にインドの上下両院が領土交換を認める憲法修正案を可決し、今回の正式合意につながった。

 会談後の共同記者会見で、ハシナ首相は国境画定について「歴史的な瞬間だ」と歓迎。モディ首相も「国境地帯がより安全で安定するだろう」と応じた。

 飛び地は17世紀ごろ、周辺を支配していたクーチ・ビハール藩王国とムガル帝国との間で領土争いが起きたのがきっかけで形成されたとされる。1947年に周辺地域が東パキスタン(現バングラデシュ)として分離独立したが、藩王国はインドへ帰属したため、多数の飛び地ができた。飛び地では国境線をまたぐ移動が制限され、自国の支配が及ばなくなったことから、インフラや公共サービスの整備が遅れたとされる。

 両首脳は会談で、国境沿いの人身売買や麻薬取引などの違法行為の取り締まりやテロ対策などについても協議した。

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