■東大などが共同研究
独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学大気海洋研究所の共同研究チームは、地球全体の雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像モデル「NICAM」をスーパーコンピューター「京」で実行、シミュレーションし、約2週間先の台風発生予測が可能であることを実証したと発表した。
台風の発生は、熱帯域で北半球冬季(12月~4月)に起こるマッデン・ジュリアン振動(MJO)や、北半球夏季(5月~11月)に起こる北半球夏季季節内振動(BSISO)といった積乱雲群の活動と関連があることが指摘されている。
しかし、日本の気象庁をはじめ、現行の台風予報センターで利用している気象シミュレーションプログラムでは、雲の効果はある仮定の下、経験的に取り入れられているだけで、物理法則に従った厳密なものではない。結果として、現在は1~5日後の台風発生を予測しているが、この予測期間は短いもので、精度も不十分である。
研究チームはこれまで、雲の生成・消滅や、雲の中での雨や雪の生成・落下を物理法則に従って直接計算できる気象シミュレーションプログラムNICAMを開発。それをスーパーコンピューター「京」で動かすことで、MJOをきわめて高い精度で予測できることを示していた。