絶滅危惧種「イトウ」を守り・共生しましょう!
南富良野町イトウ保護管理条例制定

 絶滅危惧種のサケ科である希少淡水魚「イトウ」は、環境省で定めているレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に掲載されている水生動物であり、絶滅危険度が2番目に高い、IB(EN)に指定されていますが、北海道の淡水魚を代表する遊漁対象種でもあることから、法的な保護措置はほとんどされていません。

 町内かなやま湖および空知川水系に生息しているイトウは、昔から私たち町民の豊かな生活に欠かすことのできない、町の多様な自然の象徴的存在であるとともに、昭和42年に竣工しました金山ダムにより、限られた地域で世代交代を繰り返すという特異的な生息をし、釣りや観光などにとっても貴重な価値を有しています。

 町では、これまでイトウの保護対策として、北海道に対し、イトウの資源保護を目的としたイトウの産卵期禁漁措置を北海道内水面漁場管理委員会の委員会指示として、平成11年から平成20年まで禁漁措置をしていただくよう要請をしながら保護に対する啓発活動を行ってきました。その結果、漁業法に基づく北海道内水面漁場管理委員会指示も平成20年まで行われてきました。

 町としては、その後のイトウの保護管理対策として北海道との協議により平成21年度以降、イトウの種の保存対策として特に有効と考えられます産卵期や冬期間におけるイトウの越冬個体を守るため、町民や遊漁を楽しむ皆様が自主的に大切な資源イトウを次代に残していくことを目的とした、「南富良野町イトウ保護管理条例」を平成21年3月定例議会で制定しました。
 
 この条例は、イトウが遊漁対象種であることから、法律の定めるところにより、町条例として採補の禁止など強制的な規制はできませんが、イトウを保護するため、大切な産卵期や越冬個体の保護などを目的とする内容の条例を定めたものです。


南富良野町イトウ保護管理条例(PDF 14KB)

【条例概要】
○保護区の指定(第4条関係)及び保護区における採補自粛(第5条関係)
 町長は、イトウ保護のため重要と認める区域を、イトウ保護区として指定することができる。
 指定にあたっては、水生動物の
採補(※1)自粛区域、採補自粛期間及び採補自粛対象種を定めてするものとする。
 町長は、指定をしようとするときは、あらかじめ南富良野町イトウ保護管理審議会の意見を聴かなければならない。
 町長は、
町民等(※2)に対し、イトウ保護区の区域内では、定められた期間において、定められた水生動物の対象種の採補を自粛するよう要請する。

○持ち帰り数の上限の指定等(第6条関係)及び上限を超えた持ち帰りの自粛(第7条関係)
 町長は、イトウの保護管理を図るため必要があると認めるときは、保護区域及び期間外で、イトウの分布状況及び生息状況を勘案して、採補したイトウを持ち帰ることを町民等に自粛要請すべき数の上限を指定することができる。
 町長は、上限を超えてイトウを採補した者に対し、上限を超えたイトウを、採補した場所に速やかに放流することを要請するものとする。

○特定移入動物の指定等(第8条関係)及び特定移入動物を放つことの自粛(第9条関係)
 町長は、
かなやま湖及び空知川水系(※3)区域外から持ち込まれた種及び同区域内に生息するものと同種であっても同区域外から持ち込まれた別の地域個体群由来の個体で、イトウの生息に影響を及ぼし、又は及ぼす恐れがある水生動物(卵を含み、生きているものに限る)を、特定移入動物として指定することができる。
 町長は町民等に対し、区域への特定移入動物を放つことを自粛するよう要請するものとする。

○審議会の設置(第10条関係)
 町は、南富良野町イトウ保護管理審議会を設置する。
 審議会は、保護区の指定(第4条)、持ち帰り数の上限の指定等(第6条)及び特定移入動物の指定等(第8条)の事項、その他町内のイトウの保護管理に係る事項を調査審議する。
 上記のほか、町内のイトウの保護管理に係る事項に関し、町長に意見を述べることができる。

○保護巡視員(第12条関係)
 イトウ保護区に係る必要な巡視を行わせるため、イトウ保護巡視員を置くことができる。

○啓発活動(第13条関係)
 本条例における町民等への自粛要請は義務づけを伴うもと解してはならない。
 町は、本条例の実効性が確保されるよう、関係機関と協力して、町民等に対する啓発活動を行うものとする。

【用語解説】
※1 採補 : 水生動物の生きている個体の捕獲及び水生動物の生きている卵の採取をいう
※2 町民等 : 町民、滞在者、旅行者及び事業者をいう
※3 かなやま湖及び空知川水系 : 金山ダムより上流のかなやま湖及び町内空知川水系全域(全ての支流及び分流を含む)をいう


 イトウ保護区等を指定しました。



 空知川流域及びかなやま湖のイトウ保護についてのアンケートのお願い

 絶滅危惧種「イトウ」の保護管理を目的として、南富良野町と地元のソラプチ・イトウの会が共同で町内の空知川流域及びかなやま湖で釣りをされたことのある方を対象にアンケートのご協力をお願いするものであります。
 このアンケート結果につきましては、集計しまして今後のイトウ保護管理のための基礎データとして活用させていただきます。

 次のファイルをダウンロードし、ご記入のうえ、下記アドレス宛メールに添付のうえ、ご回答ください。
  空知川流域及びかなやま湖のイトウ保護についてのアンケート(Word版)





◎産卵期の保護になぜこだわるのか?
 普段イトウは中下流域や湖沼に広く分散して生息するために多くの魚を釣るのは難しいです。しかし、産卵期は、上流の比較的小さな流れに大きな親魚だけが集まります。雄の親魚は婚姻色と言って、赤く色づきますので見つけやすい上、餌をとりますのでとても釣りやすいのです。もし釣らなければその後も長く生きて何度も産卵しますので、親魚が増えていく訳であり、もし良好な生息環境が残されていれば産卵数の増加によって子ども世代が増えることが期待できます。
 産卵期にイトウを守るだけではイトウが増える訳ではありません。良好な河川環境がたくさん残されていることが条件で、絶滅してしまった流れには簡単には戻ってこないのです。



※ 「イトウ」は絶滅危惧IB類(EN)に分類されていますが、南富良野町内に生息しているイトウは産卵期の保護活動の成果により一定の魚対数の確保はされていると、北海道立水産孵化場やイトウ調査研究者などの調査により確認されております。



詳しくは南富良野町役場 企画課 企画振興係
рO167−52−2115
E-mail:kikaku*town.minamifurano.lg.jp(ご使用の際は*を@に変えて下さい。)