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デモ隊殺害指示の罪、ムバラク氏に逆転「無罪」

 【カイロ=久保健一】エジプト・カイロの裁判所は29日、2011年初めの政変でデモ隊殺害を指示した罪に問われたホスニ・ムバラク元大統領(86)の公判を却下する決定を下し、事実上の無罪を言い渡した。

 エジプトでは、元大統領と同じ軍出身のシシ氏が大統領に就任するなど、旧体制復権の空気が強まっている。今回の司法判断もその影響を受けた可能性があるが、反政権の若者グループやイスラム主義組織が反発を強めそうだ。

 ラシーディ判事は、「(終身刑とした1審判決は)明白な証拠に基づいていなかった」とした上で、「現行法では元大統領を罪に問うことはできない」と決定理由を述べた。元大統領と同じ罪に問われたアドリ元内相ら側近7人にも、同様の決定が言い渡された。

 裁判所は12年6月、元大統領の「殺害を阻止しなかった責任」を認定し、終身刑を言い渡した。しかし、その半年後に上級審が裁判のやり直しを命じていた。

 「アラブの春」と呼ばれた民主化デモでは、治安部隊の発砲などで800人以上が死亡したが、政権側の刑事責任が問われることなく裁判が終結する可能性が高まった。

2014年11月29日 23時13分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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