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【菊花賞】トーホウジャッカル最速V!JRAレコード3分1秒0

2014年10月27日6時0分  スポーツ報知
  • 史上最速のデビュー149日目で菊花賞を制したトーホウジャッカル(左)。鞍上の酒井は左手を掲げた(右は2着サウンズオブアース)

    史上最速のデビュー149日目で菊花賞を制したトーホウジャッカル(左)。鞍上の酒井は左手を掲げた(右は2着サウンズオブアース)

 ◆第75回菊花賞・G1(26日・芝3000メートル、京都競馬場、良)

 3歳牡馬クラシック最終戦の第75回菊花賞・G1(26日、京都・芝3000メートル)は、好位で運んだ3番人気のトーホウジャッカル(酒井)が、3分1秒0の驚異的なレコードでG1初挑戦初制覇。ダービー前日の5月31日のデビューから、わずか149日目での史上最短菊制覇となった。2着は半馬身差でサウンズオブアース。2冠を狙った1番人気のダービー馬ワンアンドオンリーは直線で伸びず9着に終わった。

 厚い信頼があるからこそ、自信を持って早めに仕掛けた。好位のインを追走していたトーホウジャッカルに酒井がゴーサインを出したのは2周目の坂の下り。「内でたまっていたぶん、反応してくれるだろうと思っていました」。馬場の真ん中へ持ち出した直線入り口では早々と先頭へ躍り出た。内で食い下がるサウンズオブアースとの追い比べに、右ステッキが何度も入った長い直線。半馬身差で封じ込めると、酒井の左手が高々と上がった。

 従来の記録を1秒7も縮める3分1秒0の驚異的なレコード勝ち。「チャンスがあると思っていた。ありがとうの言葉しかないですね」。愛馬の首筋を何度も叩き、労をねぎらった酒井の視界に、笑顔で出迎える谷調教師の姿が飛び込んできた。開業20年目でのG1初制覇。2冠馬ヒカルイマイなどを管理していた父の谷八郎元調教師と合わせ、父子で牡馬クラシック3冠制覇を達成した。「何かまだ夢のような感じです。少しは親父の足元に並べたかな」とトレーナーも喜びをかみしめた。

 激動の競走馬生活を歩んできた。生まれたのは11年の3月11日。東日本大震災が起きた約2時間後の午後5時頃だった。昨夏には育成場で重い腸炎を発症。馬体重は50キロ近く減ったという。「競走馬になれるかという状態から、よくここまできましたね」と谷調教師はしみじみと振り返る。

 デビューはワンアンドオンリーが喝采を浴びたダービー前日の5月31日。出遅れから10着に敗れたが、直線で脚を伸ばす体の使い方に酒井は大きな可能性を感じ取った。そして、トレーナーに告げた。「お願いなんで、もう一度乗せてください」。あの日、確かな手応えをつかんでから149日目。階段を一歩ずつ駆け上がっての菊花賞制覇は史上最速のスピード記録となった。

 今後は未定だが、驚異の成長力に、酒井はさらに大きな伸びしろを感じている。「短期間でここまで成長してくれましたからね。底知れない力にワクワクしています」。わずか5か月足らずで3歳牡馬の頂点へたどり着き、見事な下克上を成し遂げた秋の淀。しかし、この日の激走はまだ序章に過ぎないのかもしれない。(山本 武志)

 【優勝馬メモ】

 ◆性齢 牡3歳の栗毛。

 ◆血統 父スペシャルウィーク、母トーホウガイア(父アンブライドルズソング)。98年に1番人気で敗れた父の無念を晴らした。父は、種牡馬として牝馬(シーザリオ、ブエナビスタ)でJRA・G1・7勝をマークしていたが、牡馬では初めての勝利。

 ◆戦績 7戦3勝。重賞初勝利。デビュー149日目での菊花賞制覇は、08年のオウケンブルースリ(184日目)を抜く最速記録(2歳戦がスタートした47年以降)。

 ◆総収得賞金 優勝賞金1億1200万円を加え、1億7528万円。

 ◆クラシック追加登録でのV 春のクラシックへの出走はなく、200万円の追加登録料を払って参戦した。この制度が取り入れられた92年度以降、追加登録馬が優勝したのは5頭目。菊花賞は、02年ヒシミラクル以来、2頭目。

 ◆酒井学騎手(34) 菊花賞初騎乗で優勝。JRA・G1は、12年ジャパンCダート(ニホンピロアワーズ)以来2勝目。重賞は13勝目。

 ◆谷潔調教師(57) 13度目の挑戦で、JRA・GI初制覇。重賞は、02年ダイヤモンドS(キングザファクト)以来3勝目。

 ◆生産者 北海道日高町の竹島幸治氏。JRA重賞3勝目。本馬の姉トーホウアマポーラ(父フジキセキ)が、今年のCBC賞を優勝。

 ◆馬主 東豊物産(株)。菊花賞は、00年トーホウシデン(2着)、06年トーホウアラン(8着)に続く挑戦での勝利。JRA・G1は、延べ18頭目の出走で初制覇。重賞は9勝目。

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