日本と家族
1998年、ラモスは41歳で現役を引退
その引退セレモニーで…
息子のファビアノくんが、呼ばれると、
父の現役最後のパスを受け取った。
ラモス最後の雄姿は、ファンの胸にしっかりと刻まれた。
それから15年…
ラモスは、サッカーのグラウンドに立つことになる。
今年4月、FC岐阜の監督に就任したのだ。
FC岐阜は、Jリーグ2部に所属するチーム。
ここ数年は下位に低迷し、財政的にも厳しかった。
なぜラモスは、このチームの監督を引き受けたのか?
ラモス「僕のことを必要としてくれるなら、どこのチームでも行くしかない、逃げちゃアカン。強いチームを作りたい、みんなを驚かせたい。」
サッカーへの情熱は、選手時代と何も変わっていない。
ラモスを慕って、チームに来た元日本代表メンバーの姿も…
元日本代表 川口能活「『恐れないで勇気をもってトライしろ』とラモスさんは常々言っている。自分が成長するために、ラモスさんの言葉は心にしみる。」
元日本代表 三都主アレサンドロ「いろいろな監督のもとでやってきたが、ラモスさんは常に熱い。」
もっと 試合を見に来て欲しい…
どんなに疲れていても、ラモスはファンサービスを欠かさない。
それは、グラウンドの外でも…
この日やって来たのは、岐阜の夏の風物詩『鵜飼い』。
こうして、監督自ら先頭にたち、チームの宣伝活動を行っている。
昨年度に比べ、観客数は倍増!
サッカー文化が根付いてこなかった岐阜に確実にファンが増えている。
観客「(岐阜は)昔から野球しかメジャーじゃなかった。ラモスさんが来たことでサッカーが根付いてくらたらと思います。」
さらに…
ラモスは、小学生を対象にしたサッカー教室を開催。
選手時代から続け、30年以上になる。
子供たちを本気にさせたい…
高学年相手のミニゲームでは、子供を相手にドリブルでかわし、強烈なシュート!
全く手を抜かない。
スタッフ「本気ですね〜」
ラモス「本気出さないと負けるから。負けるの嫌い、嫌だ。」
この厳しい指導が、世界的な選手を生んでいた。
なでしこジャパンのエース、澤穂希。
中学1年生の時、ラモスから指導を受けたことがある。
澤「本当にラモスさんって上手いんですよ。年齢 性別関係なく 本気で取れないのがすごい悔しかったという印象がすごく残っています。まだまだ上手くなれると思っていますし、負けたくないという気持ちは今でも持っている。」
このサッカー教室で、子供達に必ず伝えるメッセージがある。
ラモス「親孝行ね、お母さん大事にしてね。お母さんとケンカするの良くない。俺たちブラジル人は、今は日本人だけどね、あり得ない。」
それは家族の大切さ。
3年前、ラモスの最愛の妻・初音さんは、がんでこの世を去った。
告知からわずか、一週間あまりのことだった。
しかし、今も家族の絆は固く結ばれているという。
元日本代表 武田修宏「奥さんが他界したときあまり出かけなかったんですよね。その時ファビちゃんが『パパどうして出かけないの? いつもだったら出かけてたよね、出かければいいじゃん』そう言ってから、ラモスさん出かけるようになって。今は子どもたちがパパを支えてやっているなというのはすごく思います。」
今月6日。
ラモスファミリーにとって、この日は、特別な1日だった。
ラモスが呼び込んだのは、娘のファビアナさん。
この日は、彼女のバースデー。
このイベントを企画したのは、もちろんラモス。
現在、ファビアナさんは、日本で歌手として活動している。
ファビアナ「日本人にブラジルを紹介して、その後ブラジル人に日本を紹介できたらいいな…音楽を通してそういう架け橋になれたらいいなと思う。」
父親の背中を見て成長したのは、娘だけではない
もう一人、父から現役最後のパスを受け取った、息子のファビアノくんは…
現在、中学生サッカーチームのヘッドコーチを務めている。
彼の夢は?
ファビアノ「(父と)一緒のチームでコーチと監督という立場で、日本一 世界一のチームを作りたいですね。」
ラモスの日本への思い、
それは2人の子供たちにも、しっかりと受け継がれている。