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県とパソナ、若者の就業支援で協定

 就職先が決まらないまま卒業した若者の就業を支援するため、県と人材派遣会社「パソナ」(東京都)が連携協定を結んだ。同社が無料で研修を行い、県内中小企業などへの就職を目指す。年間200人の正規雇用につなげることが目標だ。県によると、人材派遣会社と都道府県が若者の就業支援に関する協定を結ぶのは初めて。

 厚生労働、文部科学両省の調査によると、全国で今年3月に卒業した大学生の就職率(4月1日現在)は、94・4%(前年同期比0・5ポイント増)で3年連続の上昇となった。しかし、県雇用対策課は「学生の多くが大企業に殺到し、中小企業に人が集まらない『ミスマッチ』が起きている」と指摘する。

 雇用に関する調査、研究を行う「リクルートワークス研究所」の調査によると、来春卒業する大学生に対する求人倍率は、従業員5000人以上の大企業は0・55倍と狭き門だが、300人未満の企業は4・52倍と、人手不足の状況だ。

 そこで県が注目したのが、パソナが2010年に始めた「フレッシュキャリア社員」制度だ。対象は、10年3月から今年3月までに大学や大学院、短大を卒業した未就職者。同社が契約社員として最長2年間採用し、無料でビジネスマナーやパソコンなどの研修を実施。中小企業に派遣し、企業とのマッチングを図って正規雇用を目指す。同社によると、これまで県内からも約600人が参加し、8割の就職に結びついたという。

 21日に県庁で行われた締結式で、黒岩知事は「県の就業支援と民間の実績が結びつき、県内の若者雇用の大きな力になると信じている」と語り、パソナグループの南部靖之代表は「『見合いの場』が我々の役割。神奈川は学生数も中小企業数も多く、我々の取り組みが役立つ」と強調した。

 県は既卒者への広報や雇用する企業探しを行う。連携の第1弾として、同社は6、7月に県内在住の既卒者を対象に、無料で面接や履歴書作成などを指導する就職対策講座を開く。問い合わせは、同社事務局(03・3215・8280)へ。

2014年05月24日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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