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このページは、石油便覧トップの中の第2編の中の第1章の中の第4節 東日本大震災における石油産業の対応のページです。




  1. はじめに
  2. 石油産業の被災状況と供給確保への対応
  3. 石油の重要性の再認識

1. はじめに

 2011年3月11日、東北地方太平洋沖を震源として発生した東日本大震災は、石油産業に対しても製油所、油槽所、サービスステーションおよび輸送機関に甚大な被害を与え、石油製品の供給が危ぶまれる緊急事態になった。こうした状況の中石油業界は、停止した製油所の早期の再稼働および稼働中の製油所における石油製品の増産を実施するなど、震災直後から業界を挙げて被災地への石油供給確保に向けて取り組みを開始した。

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2. 石油産業の被災状況と供給確保への対応

図2-1-2 東日本大震災への対応
図 2-1-2 大震災直後の製油所・油槽所の稼働状況

出所:石油連盟

(1)被災状況

 図2-1-2の左の図は大震災直後の3月12日における東北および関東地域の製油所・油槽所の稼働状況を示したものである。東北・北関東太平洋岸に立地する2製油所(JXエネルギー仙台製油所、鹿島製油所)および16油槽所のすべてが稼働停止または出荷不能状態となり、京浜・千葉地区においても7製油所の内4製油所が稼働を停止し、国内原油処理能力(約450万BD)が約3割(約140万BD)減少した。その後、京浜・千葉地区で稼働を停止した4製油所の内、被害が軽微であった3製油所は3月中旬に稼働を再開した。1製油所については2012年4月に再稼働するに至っている。また、巨大津波による被害が大きかった太平洋岸の前記2製油所のうち、鹿島製油所は6月中旬に、仙台製油所は2012年3月にそれぞれ稼働再開を果たした。

 一方、油槽所については、多くが巨大津波によって大きな被害を受けたが、迅速な復旧作業により、4月中旬までに13油槽所で出荷可能となった。

 この他、東北6県で、サービスステーション約220ヵ所が被災し、設備・構築物の損壊・消失等により営業困難となり、また、石油製品輸送用タンクローリー約150台も被災するなど、多大な被害が発生した。

(2)緊急対策本部設置による業界対応

 3月11日の地震発生直後、石油連盟(以下「石連」)内に緊急対策本部を設置し製油所・油槽所被害状況等の情報収集を開始した。以下は、緊急対策本部を中心とした被災地への石油製品供給確保に向けての主な取り組みである。

 まず、3月12日には緊急対策本部から石油各社に対して、被災地への石油製品の供給確保を要請するとともに、3月14日には官邸要請に対応する24時間体制のオペレーションルームを石連内に設置し、以後、官邸指示の下に、福島空港へ緊急ヘリコプター等向けジェット燃料のピストン輸送、福島原発の冷却装置および車両用燃料のドラム缶輸送、福島原発周辺住民の避難用燃料(ガソリン・軽油)の輸送等に加え、病院、自治体等向けの供給に対応した。

 また、同じく3月14日、緊急対策本部から政府に対して、民間備蓄義務の3日分(126万KL)の引き下げを要請し、同日付けで70日から67日への引き下げ措置が講じられた。その後3月21日には、更に22日分(924万KL)の民間備蓄義務の引き下げを要請し、5月20日を期限とする備蓄義務量45日への引き下げ措置が講じられた。

 その他にも3月18日以降、政府要請(防衛省緊急調達)に基づくガソリン・灯油・軽油(ドラム缶5,080本)の配送および政府指定の緊急重点サービスステーション394ヶ所への優先燃料供給や、医療チームの緊急車両に対する優先給油対応等を実施した。

(出所:2011年4月18日石油連盟 東日本大震災への石油業界の対応状況)

(3)石油各社の対応

 石油各社は、前記緊急対策本部を通じての対応とともに、以下の対応を実施した。(図2-1-2)

  1. 稼働中の製油所での生産体制の強化(精製能力増強および稼働率アップ)
     政府からの要請(3月17日経済産業省発表)に基づき、石油各社は西日本の製油所を中心に製油所稼働率を引き上げるとともに、一部の製油所では処理能力を増強して、増産分を東北地方に供給する体制を整えた。また、震災直後停止した東日本の6製油所の内、京浜・千葉地区の3製油所が3月中旬以降運転を再開し、その結果、稼働全製油所の稼働率も3月下旬には95%を超える高い水準となり(図2-1-3)、原油処理量は震災前のほぼ90%まで回復した。
    図2-1-3 大震災以降の全製油所の稼動状況
    図2-1-3 大震災以降の全製油所の稼動状況

    出所:石油連盟

  2. ガソリン等の緊急輸入の実施と製品輸出のキャンセル(国内供給に振り向け)
  3. 西日本等から東北地方へのガソリン等の転送
  4. 被災地域を中心に全社協力体制を実施
     復旧した塩釜油槽所(2ヶ所)の石油元売各社による共同利用等、出荷可能な油槽所・タンクローリーの効率的活用による供給能力拡大
  5. 西日本等のタンクローリー約300台を東北地域に順次増加派遣、他
    (出所:石油連盟)

(4)仙台製油所の復旧

 巨大な津波により壊滅的な被害を受けたJXエネルギー仙台製油所では、5月上旬には他所から移設した暫定出荷設備9レーンを使用し、ガソリン・灯油・軽油の出荷を再開した。5月中旬には製品受け入れを開始、9月以降は製品タンク及び海上受入れ桟橋を順次復旧・再開し、製品受け入れ能力の増強を図った。タンクローリー出荷能力は11月までに36レーン体制に引き上げ、冬場の供給体制の確保に努めた。2012年1月中旬には装置の試運転を開始、3月には本格的な生産を開始するに至った。
 なお、復旧にあたっては陸上出荷設備を津波の影響を受けにくい場所へ移設し、電気系統にも新たな津波対策を講じた。今後は太陽光発電設備や燃料電池・蓄電池など新エネルギーシステムを導入することで、停電時の防災拠点機能の強化を図る予定である。

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3. 石油の重要性の再認識

 東日本大震災においては、「系統エネルギー」である電気・都市ガスが供給不能になった瞬間から、石油は持ち運びや貯蔵が容易な「分散型エネルギー」として、緊急時対応力を発揮した。石油は避難所等の暖房用燃料、原発周辺住民の避難用車両の燃料等として、国民生活の安全を守るエネルギーの「最後の拠り所」としての役割を果たし、「石油の重要性」が再認識された。(出所:石油連盟)

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