リニア中央新幹線:ルートや駅は着々……残された疑問 JR東海社長「絶対ペイしない」と仰天発言

2013年10月30日

実験線を走行するL0系=山梨県都留市で2013年8月29日、木葉健二撮影
実験線を走行するL0系=山梨県都留市で2013年8月29日、木葉健二撮影

 巨費を投じる事業の収益性について、当のJR東海・山田社長は9月18日の記者会見で「リニアだけでは絶対にペイしない。新幹線の収入で建設費を賄って何とかやっていける」、10月17日にも「(リニアだけで)採算はとれない。新幹線と一体的に運用して会社をパンクさせずにやっていく」と発言した。広報部は「日本の大動脈を維持発展させていく使命のもと、新幹線の経年劣化と大規模災害に備えるために大動脈を二重系化する考えであり、リニア単独での投資回収を目的とする計画ではない」と説明。社全体の収入は全線開業時で15%増との「堅めの想定」を示す。

 橋山さんは「新幹線で稼いだお金をリニア建設費に充てるのは分かるが、リニアが開業しても赤字とは理解しがたい。一体運用というが新幹線がリニアに客を奪われ、さらに役割分担で新幹線が各駅停車中心になれば収益が上がらなくなるのでは。難工事や物価上昇で建設コストが膨らんだり、想定を上回る金利上昇に見舞われたりすれば経営を圧迫する。最悪、日本航空のように税金を投入する話になりかねません」と心配する。

 JR東海は「工事のペースは経営環境の変化に応じて調整する」としているが、視界は必ずしも良好ではない。

 技術的なハードルを指摘するのは鉄道ジャーナリストの梅原淳さん(48)だ。「リニアの技術は確立しているといっても、山梨の実験線(42・8キロ)で走らせることができたに過ぎません。営業運転、つまり連日朝から晩まで東京−名古屋間を約1000人の乗客を運び、折り返すとなると別の話です。それ以前に、長大な大深度地下トンネルを掘る工事は過去に例がなく、南アルプスも難工事。地質が似ているといわれる新潟県の北越急行・鍋立山(なべたちやま)トンネル(全長約9キロ)は開通までに20年以上かかっている。果たして開業に間に合うのか」

 山田社長はトンネル工事について「現実に掘り出すと、いつ何が出るか分からないが、最新の技術で乗り越える」(9月18日の記者会見)と意気込みを示したが、「トンネルは掘れたとしても、リニアの実用化が難しいとなった時には在来の新幹線を走らせるという選択肢も残しているのでは」と梅原さんはみる。

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