大学入試センターは２０日、長崎市の活水（かっすい）女子大試験場で１９日に実施した「地理歴史」「公民」の試験時間中に、退出した女子受験生（１９）が問題冊子を不正に持ち出し、試験場の外にいた予備校講師に渡していた、と発表した。センター試験で試験時間中に問題が持ち出されたのは今回が初めて。同センターは女子受験生を不正行為で失格にした。センターは「大学の監督業務が十分でなかったことは反省点。今後対応を検討する」と話している。

　同センターの記者会見などによると、予備校講師は模範解答を作成する立場にあり、女子受験生はこの予備校の生徒。センター試験に関係のない大学に既に合格しており、講師から問題持ち出しを依頼されたという。講師は「早めに問題を手に入れ答案を作りたかった」と理由を説明、「流出行為はしていない」と話しているという。センターと大学は警察に連絡し、持ち出された問題は１９日夜に回収された。同日中に警察から「事件性は薄い」と告げられたという。

　「地歴」「公民」は２科目を同じ時間内に受ける。午前９時半から同１１時４０分までで、途中の１０分間は解答用紙の回収に充てられる。女子受験生は午前１０時すぎに「退出します」と監督官に告げ、問題を持ったまま試験場を退出。受験案内などには「試験中は問題は持ち出せない」と注意書きがあるが、監督官は気付かなかったという。女子受験生は３〜４分後に同大の門の外にいた講師に冊子を渡し、学内に戻ったところで呼び止められた。

　会見した同センターの片山純一理事は「流出していないと判断している」と話し、試験自体は有効として再試験などは実施しない。【石丸整、苅田伸宏】