バブル崩壊を予測していたアイドルの変遷 '70年代初め、ドルショックと共に日本が国際経済の仲間入りを果たした頃、芸能界に「アイドル」が突然変異的に誕生した。 「その後、アイドルは'85年〜'87年に絶頂期を迎え、歌手として人気を集めました。そして、'88年には冬の時代へ突入。'90年代になると、グラビア、CM、ドラマ、バラエティ番組など細分化されて復活していくんです」 そう語るのは、アイドル評論家の北川昌弘氏。アイドルの変遷は、景気を予測したかのような動きを見せているという。 「'88年にアイドルバブルが崩壊し、冬の時代に突入した原因は、大量にアイドルが登場し、お互いに潰し合った結果でした。これは、'89年に崩壊した日本経済と同じで、無計画に不動産を乱買いし、そのため需要と供給のバランスが崩れた状況と非常に似ているんです。当時のアイドルバブル崩壊はこれからの経済不況を予測していたかのようでしたね」(前出・北川氏) たしかに、その後の不良債権処理の時期とアイドル低迷期もほぼ一致する。さらに構造改革と共に、アイドルも変革期を迎えて細分化している。ならば、現状の「緩やかな景気回復」を考えれば、アイドルも徐々に復活の兆しを見せているということなのか。 「最近では萌え系にはじまり、キュート系やエンジェル系という新しい言葉まで登場し、市場はにわかに活気を帯びています。ただし、今はバブル崩壊前とは違い、現実感のある身近な存在としてのアイドルに人気が集まっている」(前出・北川氏) バブル崩壊で、この世の現実を知った日本人。もはや果てしない夢は追い求めず、確実に手の届く夢を手にしようとしているのかもしれない。 次ページでは『景気上昇、景気下降が予測できるアイドルの特徴』について検証していこう。