甘藷黒斑病
毒物の所在
サツマイモ(Ipomoea batatas)は,害虫の食害やカビ(Fusarium属)の発生に反応して,イポメアマロン(iopmeamarone),イポメアニン(ipomeanine),1-イポメアノール(ipomeanol),4-イポメアノール,1,4-イポメアジオール(ipomeadiol)などのファイトアレキシンを産生する.
カビの発生初期はイポメアマロンが生成されるが,次第にイポメアニンが生成され,これが還元されてイポメアノール,イポメアジオールとなる.
毒性
4-イポメアノールなどは肺のシトクロムP-450で代謝され,これが肺組織の細胞機能障害を起こす(3-メチルインドールによる牛の急性肺水腫と同様の機序).
イポメアマロンは肝毒性を有する.
マウスに対する経口急性毒性は,イポメアマロンが230 mg/kg,4-イポメアノールが38 mg/kgである.
中毒症状
呼吸困難,頻呼吸,泡沫性流涎
病理所見
肺の重度出血,間質性肺気腫,肺水腫,マクロファージ・巨細胞浸潤
診断
黴びたサツマイモの給与.
臨床症状および病理所見
4-イポメアノール,イポメアマロン等の検出
文献
Foodborne disease handbook. Volume 3: Plant toxicants (2001) Marcel Dekker, Inc. pp118-122.
(最終更新:2005.1.11)