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森光子さん死去、92歳…放浪記・時間ですよ

 上演2017回を数える舞台「放浪記」や人気テレビドラマ「時間ですよ」などで幅広く活躍、文化勲章、国民栄誉賞を受けた女優の(もり)光子(みつこ)(本名・村上(むらかみ)美津(みつ))さんが10日午後6時37分、肺炎による心不全のため、都内の病院で亡くなった。

 92歳だった。密葬は14日に近親者で行った。喪主はおいの柳田敏朗さん。本葬の日程は未定。

 京都市出身。いとこは映画スターの嵐寛寿郎で、京都府立第一高等女学校を中退して1935年に15歳で寛寿郎プロに入り映画に出演。一時結核で療養し、大阪での喜劇の舞台やラジオ、テレビ出演を経て、58年に、東宝の重役だった劇作家の菊田一夫の目に留まり、東京に舞台女優としての拠点を移した。

 脇役が続いたが、61年に41歳で初めて主演を務め、作家の林芙美子役が生涯の当たり役となる「放浪記」(菊田一夫脚本・演出)を東京・芸術座で初演。8か月のロングランとなり、芸術祭文部大臣賞などを受けて才能が花開いた。天性の明るい性格と庶民的な感覚で人気女優の座を射止め、テレビドラマ「時間ですよ」(TBS系)の出演のほか、ワイドショー「3時のあなた」(フジテレビ系)、NHKの紅白歌合戦の司会を務め、「日本のお母さん」と呼ばれた。舞台ではほかに「雪まろげ」「おもろい女」などで人気を博し、「座長芝居」の黄金期を築いた。

 ライフワークの「放浪記」は全国で上演、2009年5月9日の89歳の誕生日に東京・帝国劇場で上演2000回を達成。同29日の千秋楽まで通算2017回を数えた。

 00年の第7回読売演劇大賞で大賞と最優秀女優賞を受け、05年に文化勲章を受章。「放浪記」などの功績で09年7月に国民栄誉賞を授与された。

 10年2月、健康上の理由から5〜6月の「放浪記」公演の中止を発表し、舞台から退いていた。

2012年11月14日19時27分  読売新聞)
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