国際ニッケル研究会の概要
(International Nickel Study Group:INSG)
平成22年10月
ポイント
1. 研究会
- 統計情報の収集と改善、ニッケルに係わる政府間協議、情報交換の場の提供等が主な目的。統計等の刊行資料に関しては一定の評価を得ている。
- 世界の主要ニッケル鉱石生産国、地金生産国及び消費国の14カ国及びEUが加盟。
2. 生産・消費・用途・価格(2009年)
- 世界のニッケル鉱石生産量は、134万トン。主要鉱石生産国は、ロシア(19%)、豪州(14%)、インドネシア(12%)、カナダ(10%)、ニューカレドニア(7%)。世界のニッケル地金生産量は、131万トン。主要地金生産国は、ロシア(19%)、中国(19%)、日本(10%)、カナダ(9%)、豪州(9%)。
- 世界のニッケル消費量は、123万トン。主要消費国は、中国(35%)、日本(10%)、米国(7%)、ドイツ(6%)、台湾(5%)。
- 日本における消費量の80%以上はステンレス鋼を含む特殊鋼向け。残りは主にメッキ材、合金材に使用されている。そのほか二次電池材・リードフレーム材等IT産業向け用途も拡大。
- ニッケルは、中国・インド等の経済成長を主要因とする世界的な需要の拡大により2003年後半から価格が上昇に向い、特に2006年に入って価格が急騰した。2007年5月にトン当たり50,000ドルを超えたが、それ以降は減少に転じた。2009年平均価格はトン当たり14,564ドル。
3. 我が国との関係
- 我が国は、精鉱、マット、地金、フェロニッケル等の形態で、ニッケルの全量を輸入に依存している。2009年の輸入量は35万トン。主な輸入先は、インドネシア(59%)、フィリピン(24%)、ニューカレドニア(15%)。ニッケルは、我が国の備蓄対象鉱種となっている。
- 我が国は、財政上等の理由から2002年12月末に研究会から脱退したが、統計・情報交換を通じたニッケル資源の安定供給の確保を図る観点から、2004年11月に再加盟した(分担金は、経済産業省予算)。
【国際ニッケル研究会概要】
(1)付託条項の発効年月日
1990年5月23日
(2)加盟国(2009年4月現在)
オーストラリア、キューバ、フィンランド、フランス、ギリシャ、ブラジル、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ロシア、スウェーデン、イギリスの14カ国とEU
(3)本部・事務局
本部:ポルトガル、リスボン。
事務局長:Mr. Don Smale(オーストラリア出身)
職員数:4名
(4)業務
国際商品研究会。統計の収集・改善、ニッケルに関する情報交換を主体。
(5)予算(分担金)
経済産業省予算により、分担金を支出。
2009年度分担金総額:386,000ユーロ
日本の分担金:50,567ユーロ(分担率:13%)
日本は世界第1位の分担金拠出国。第2位はロシア(11%)、第3位はフランス(8%)。
(6)現状
(イ)統計整備による市場透明度の向上。(特にCIS及びアジアのデータに関する精度の向上)
(ロ)非加盟国の勧誘(カナダ、中国等)
(ハ)環境・経済委員会の設置、環境問題への対応等の研究会機能の拡充