政治【産経抄】9月14日2011.9.14 03:33

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【産経抄】
9月14日

2011.9.14 03:33

 政治が指導力を発揮せず、物事を先送りすることを「日本化する」と表現して、やゆする海外の論調がある。「国家の信用」が今、危機にひんしている-といっても野党やマスコミの政府批判ではない。野田佳彦首相が昨日の所信表明演説で述べた現状認識のくだりである。

 ▼海外の論調とは1カ月少し前の英誌「エコノミスト」のものらしい。欧米の指導者が財政赤字削減などでの決断を避け続けていることを「日本化している」と批判した。表紙ではオバマ米大統領とメルケル独首相に日本の着物を着させる徹底ぶりだ。

 ▼欧米諸国に対してというより日本への的を射た皮肉だ。それを引用した首相の見識はさすがと言いたいが、ちょっと待てという気もする。指導力のなさから「国家の信用」を最も失ったのは他ならぬ鳩山、菅という2代の民主党政権だからである。

 ▼沖縄の米軍普天間飛行場移設問題をこじらせ、日米の亀裂を大きくしたのは鳩山由紀夫氏だった。原発政策など数々の思いつき発言で国民を困惑させたのは菅直人氏である。「国家の危機」を語るのなら、まず2政権の体たらくを批判すべきではなかったのかと思う。

 ▼所信表明が行われたこの日、国土交通省関東地方整備局は群馬・八ツ場ダム問題で、治水、利水の両面からダム建設が代替案に比べ最上との結論を出した。関係6都県も工事再開を求めている。ダム建設中止という民主政権の政策は破綻したのだ。

 ▼「コンクリートから人へ」という美辞麗句で、2年以上の時間を空費させた責任は重い。ここでも政治の指導力不足が「国家の信用」を失墜させた。野田政権が前へ進みたいのなら、これまでの失政を反省することが先である。

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