報道発表資料 [2011年4月掲載]
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恩賜上野動物園情報
カバの「サツキ」よ やすらかに

平成23年4月18日
建設局
(公財)東京動物園協会

 恩賜上野動物園(園長 小宮輝之)では、カバの「サツキ」が死亡しましたので、お知らせします。

写真
【元気なころのサツキ】

1 死亡したカバ

(1) 死亡確認日

 平成23年4月16日(土曜)

(2) 名前

 サツキ

(3) 性別

 メス

(4) 年齢

 39歳11ヶ月
 1971年5月20日当園生まれ

(5) 死因

 化膿性関節炎

2 「サツキ」について

 戦後から当園でとても親しまれた父親の「デカオ」と母親の「ナゴヤ」との間に生まれた最初の子どもで、「デカオ」の血を受けついだ最後の子どもでした。小さいころは神経質でとても臆病な性格でしたが、その後堂々とした母親に育ちました。また、歯ブラシを使ったイベントなどにも参加して人気を集めていました。通常カバの出産は水中で行われますが、「サツキ」は珍しく陸上で生まれ、3日間そこで哺乳が行われました。「サツキ」は、今までに6頭の子どもを産みましたが、うまく育つことが少なく、現在も生きている「サツキ」の子どもは、沖縄こどもの国にいる「モモコ」のみとなりました。
 「サツキ」は今年3月11日の東日本大震災の時に、入舎時に出入口の階段で足を滑らし、足と股を痛めてその治療をしていました。その後、足を引きずって歩くため、オスと分けて飼育していました。上野動物園では、100年前の1911年(明治44年)2月23日にカバが来園したことを記念し、企画展「河馬博覧会〜かば祭り in Ueno Zoo〜」を開催している最中のことでした。「サツキ」はその後、歩行に時間がかかるようになり、様子を見守っていましたが、4月16日19時過ぎに死亡を確認しました。

3 当園での飼育状況

 1頭(オス1頭) ※今回死亡した「サツキ」を除きます。

 オス「ジロー」 27歳
 1983年6月17日生まれ
 1985年10月7日札幌市円山動物園より来園

4 国内の飼育状況(2011年4月17日現在)

 28園館 48頭(オス23、メス25)

5 国内の長寿カバの年齢(サツキより年長の個体)

  • 札幌市円山動物園
    ドン(オス) 1969年生まれ
  • 旭川市旭山動物園
    ゴン(オス) 1964年生まれ、ザブコ(メス) 1963年生まれ
  • 帯広市帯広動物園
    ダイ(オス) 1969年生まれ
  • 日立市かみね動物園
    バシャン(メス) 1963年生まれ

【参考】カバ(偶蹄目カバ科)

 ワシントン条約附属書2表、IUCNレッドリスト:VU(危急種)

  • 学名
    Hippopotamus amphibius
  • 英名
    Hippopotamus
  • 体長
    2.7〜4.6メートル
  • 体重
    オス2.4〜2.6トン、メス1.8〜2.4トン
  • 分布
    サハラ以南のアフリカ東部と南部
  • 生態等
    体には皮毛が少なく、口の周囲と尾には剛毛が生えています。汗腺の変化した粘液腺から空気に触れるとピンク色に変化する抗菌作用のある粘液を出します。皮膚は水や泥で湿らせてないと乾燥し、ひび割れしてしまいます。皮膚の真皮は3〜4センチメートルの厚さがありとても頑丈です。歯は一生伸び続ける無根の犬歯と門歯をもっています。通常、草原や湿地などに20〜30頭ほどの母系の群れでいて周囲にはオスがいます。日中は水中にいて、夜間になるとエサを求めて内陸に移動します。食性はおもに草です。なわばり内でメスが優位なオスを選んで交尾が行われ、通常、水中で1頭出産します。子どもは27〜45キログラムほどで、生後5分で歩きだし、泳ぐこともできます。子どもは6〜8ヶ月間授乳し、メスの子どもはほぼ成熟するまで母親といっしょにいます。しかし、オスは4〜5年間ぐらい母親と過ごしますが、その後群れを追われます。オスは7歳で、メスは9歳で性熟成に達します。寿命は野生で40〜45年、飼育下では45年程といわれています。日本では、1911年(明治44年)に上野動物園で飼育されたのが最初です。

問い合わせ先
(公財)東京動物園協会
恩賜上野動物園
 電話 03−3828−5171
建設局公園緑地部管理課
 電話 03−5320−5365