モノクロームの死の世界、そこをペインティングで生に変える
最新作『遺作 空2』は限定千部だから早くしないと無くなっちゃうよ。
これはね、妻の死から空を眺めて感じて、しつこく撮りながら、空が心の鏡だったり、窓だったりするの。モノクロームが基本だから、少したまって一周忌に見せようとしたけど、あまりに寂しすぎた。それで、よし、色を塗ろうと。こちら側の想いなんて大したことない。それより向こう側からばんと来る想いというか、インスピレーションをこちらが受けたわけ。
以前は自分の方の想いが大きかった。たとえるなら前はカメラが男根という感じ。ところがこの頃は、カメラが女陰という感触に近い。それぐらい「攻め」よりも、受け入れる側になってきた。若いうちは攻める側じゃない。でも年を取ると向こう側から来るものを受け止められるようになる。ちょっと挑発しないと来ないけれど。それとオマージュというか、捧げる気持ちも強い。モノクローム写真で空は死の世界じゃない。そこを生に変えるには、やっぱりパッと血を通わせないといけない。だから、カラーを塗りたくる。 |