Tune In VITAMIN-Q featuring ANZA

PROFILE
加藤和彦(guitar/vocal)、小原礼(bass/vocal)、土屋昌巳(guitar/vocal)、屋敷豪太(drums/vocal)、ANZA(vocal)の5人がバンドを組んで突如デビュー。デビューアルバムとなる今作は、メンバーそれぞれがソングライティングした曲を持ち寄り、ロック、グラム、パンクなど、様々なUKテイストが溶け込んだセルフタイトル・アルバム『VITAMIN-Q』を発表。今後要注目のグループ。
Nelson Super Project『Nelson Motown +』
VITAMIN-Q featuring ANZA『VITAMIN-Q』
COCP-35209 ¥3,150(税込) 2008年12月3日発売
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加藤和彦、小原礼、土屋昌巳、屋敷豪太。日本の音楽シーンを牽引してきた 4人が、ヴォーカリストにANZAを迎え「VITAMIN-Q featuring ANZA」を結成!バンド結成からレコーディングまでは僅か1ヶ月。今年10月にレコーディング を終え、12月にデビューアルバムを発売!!と、突如現れたスーパーバン ド。なぜ今この5人が集まったのか?レコーディング熱がまださめない雰囲気の中、話しを聞いた。

取材・文=榑林史章 写真=村尾昌美
サディスティック・ミカ・バンドとは違う、 ストレートなロック・バンドがやりたかった。
とにかくメンバーがすごいです。どうやってこのメンバーが集まったんですか?
加藤和彦 : 僕と小原(礼)はもうご存じの通り40年近い付き合いで。以前からストレートなロックをやりたいねって話をしてて、それで小原が(屋敷)豪太くんと仕事をしたときに、やろうよって話になって。じゃあギターは土屋くんだろうって、いきなり電話をかけて。で、ヴォーカリストも必要だってんで、ANZAにまたいきなり電話をして。そういう即断即決で決まっていった感じ。
土屋昌巳 : 僕は、加藤さんと一緒にやらせてもらったのは今回が初めてなんですけど、実は16歳の頃からずっと憧れてたんですよ。大学生のとき、サディスティック・ミカ・バンドが東京でやったライヴは全部観てるし。
ANZAさんはどういう接点ですか?
加藤 : 僕が音楽を手がけたミュージカルに彼女が出ていて。ミュージカルの世界では活躍してたんだけど、変なヤツだと思っていたんですよ(笑)。それにANZAもHEAD PHONES PRESIDENTっていうバンドをやってて、もっとロックをやりたいって言ってるのも小耳に挟んでいたから。これ幸いとばかりに「やんない?」って声をかけたらまんまと釣れちゃった。
ANZA : 釣られました(笑)。私はもともと、小さいときから母親がビートルズとかボン・ジョヴィとか好きで、途中でダンスミュージックに走った時期もあったけれど。ミュージカルとかアイドル的なことをやっていて、でも舞台で歌っててもいつも何かもの足りなくて。それでHIDEさんの「ピンクスパイダー」を聴いたとき「何だこれは?」「何だこのどきどきする感じは?」ってロックに目覚めたんです。いちばん最初にみなさんとお会いしたときは、もうガッチガチでしたよ。でもレコーディングが始まって、曲が出来ていくにつれて、音楽だけで一緒に盛り上がれるって言うか…年齢とかキャリアとか、一切関係なくみなさん接してくれて。もう楽しくて、ここにいられることが光栄で。
昨年木村カエラちゃんを迎えてサディスティック・ミカ・バンドの再結成がありましたが。そことの区別は?
加藤 : ミカ・バンドは、バンドと名前は付いてますけど、ある種のユニットと言うか、個性の集合体で何か新しいことをやりましょうというプロジェクトだから。でも今回は本当にバンド、ストレートなロック・バンドをやりたいって言うんで始めたんで。まあどうしても女性ヴォーカルなんで、比べられたら嫌だなっていうのもあるんだけど。だからなるべく違ったことをやろうってことで。
女性ヴォーカルへのこだわりが?
加藤 : 僕の好きなバンド、ブロンディみたいなのも良いかなって。日本では過小評価されたバンドだけど,本当はNYパンクですごいうるさい音のバンド。女性ヴォーカルのデボラ・ハリーも妖艶で。やっぱり見た目も大事でしょ?ロックという言葉には音楽的なものも含まれてるけど、単純に言えば「いるだけでカッコイイ」っていう存在感なんです。そういうバンドって世界中見渡しても少なくなってるんで、そういう部分も含めて出来たらいいなって、だからロックの原点ですよね。
アルバムはいろんな時代のUKロックへのオマージュのようですね。
加藤 : それがコンセプトってわけでもないけど。だって土屋くんはジャパンでやっててずっとロンドンに住んでたし、僕も大好きで何年か住んでたこともある。そういうので身体にUKというものが入ってるんで、キーワードとしてのUKロック以前に自分たちが好きだから勝手に出ちゃうというのがあって。特に70年代初期のUKの持ってる感じ…明らかにアメリカン・ロックとは違う、インテリジェントで屈折感が入ったようなものを作りたいというのが、みんなの共通項としてあったんじゃないかな。
聴き覚えのあるフレーズがあちこちで聴こえる。でも、それが楽しくて宝探しをするような感覚で何度も聴くことが出来ました。
土屋 : それはありますね。たとえば小原さんの曲「TAKE THE WILD WAY HOME」なんかは、ビートルズから10曲くらいアイデアが入ってる。
加藤 : 隠しビートルズがいっぱいね。歌詞の過半数が英語だということもあって、僕なんかもう誰か他の人のCDを聴くような気分聴いてますけどね。
他にはT・レックスも出て来る曲があったり。土屋さん作の「FROM THAT MOMENT」はデヴィッド・ボウイとレッド・ツェッペリンが出てくる。
土屋 : あれはデヴィッド・ボウイじゃなくてスコット・ウォーカー。ボウイもデヴィッド・シルヴィアンもみんなスコット・ウォーカーになりたかったんです。最近ではレディオヘッドのトム・ヨークが「実はスコット・ウォーカーになりたかった」って白状して、それでやっと認知されだした、そのくらいのカリスマ。それで僕も一夜限りでもスコット・ウォーカーになりたいと思って。
曲の最後でいきなりツェッペリンの「天国への階段」風になりますよね。
土屋 : それは風じゃなくて、もろジミー・ペイジ(笑)。だからこの曲はブリティッシュ・ロックの、スコット・ウォーカーから始まってレッド・ツェッペリンまで、途中で一瞬ロバート・フリップも出て来るし。僕個人の楽しみとして作ったような曲でもありますね。こういう曲を面白がってくれる人(加藤)がいるっていうのが有り難いって言うか。
加藤 : だって面白いんだもん(笑)。いままでUKロックって日本では誤解されている部分も多くて、世界的には評価されたのに日本ではアンダーレイテッドだったものが多いんだよね。たとえばテレビジョンなんかそうで、まあこれはNYのバンドだけど、日本ではほとんど無視されてた。にも関わらずすごく重要なバンド。他にはヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかルー・リードとか、そういう音もアルバムには見え隠れしていて。誰々のアルバムのアレはこうだよねとか、そんな話をしていると延々と終わらなくなっちゃって(笑)。
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