トレードで楽天から移籍の渡辺直人を直撃

　突然のトレード通告に大粒の涙を流してから１カ月。横須賀市内のグラウンドに、黙々と自主トレを行う渡辺直人（３０）の姿があった。新天地はどう映っているか、本人に聞いた。
――（赤い練習着に）まだ楽天カラーですね。
「そうなんだよね。これ、嫌なんだよ（笑い）。でも（トレードが急だったのですでに）今シーズン用のウエアとか道具を頼んでいたんだよね。だからそれは練習用にして、シーズンに入る頃には（横浜のチームカラーである）ブルーを着られたらいいなと思う」
――チームの雰囲気はどうですか。
「これからキャンプをやっていけば、いろいろ分かってくるんじゃないかと思う。でも、サッカーやるのはおかしいよ」
――確かに（自主トレ中に）サッカーをやっている選手がいましたね。
「グラウンドは野球をやるところ。みんなの練習が終わってからやるならまだいいけど、周りが野球をやっているときにサッカーをやるのはおかしいと思う。楽天だったら、ぶちのめされているよ」
――楽天には自然と周囲が注意する雰囲気があるんですか。
「ベテランの選手は結構言ったり手出したり。僕も結構やっていましたよ」

●「全員が違う方向を向いてると、ひとり間違った方に向いても気付かない」
――言われた選手はどういう反応なんですか。
「素直に聞いていましたよ。普通、先輩が来たら緊張したり姿勢を正したりするでしょう？　（横浜は）それもないんだから……」
――自由過ぎる空気は流れていますよね。
「チームって、みんながだいたい同じ方向を向いていたら、少し外れた人がいても見つけやすいでしょ。そうしたらそいつに、戻れよって言ってあげることができる。でも、バラバラ過ぎて一人一人が全部違う方向を向いて散らばっていると、誰かひとりが間違った方向に向かっても周囲は気づかない」
――楽天ではみんながひとつの方向を向いていましたか。
「大きく外れていることはなかったと思う。それは（２位になった）野村監督のときも、（６位に沈んだ）ブラウン監督のときも一緒。まあ野村監督のときは多少ピリピリしていたけど。みんながひとつの目標に向かうのは当たり前のことだと思う」