日体大２区・野口（右）にタスキを渡す１区で４位の出口

　◆第８７回東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝＝報知新聞社後援）（２日、東京・読売新聞旧東京本社前・建て替え中－神奈川・箱根町、５区間１０８・０キロ）　上位進出が予想された日体大が、まさかの往路１０位。ダブルエースの１区・出口和也と２区の主将・野口拓也（ともに４年）が大会前に負傷を抱えた上、年末に１６人のメンバー中、出口ら５人がノロウイルスを発症。本来の力を出し切れなかった。それでも、選手の頑張りを褒めたたえた別府健至駅伝監督（４４）は復路５位以内を宣言し、巻き返しを誓った。山梨学大は３区でオンディバ・コスマス（３年）が１１人抜きを見せたが、１３位と下位に沈んだ。

　覚悟していた結果だった。「走る前から厳しいと予想していた。１０位は悪いけど、予定通り」。別府監督は潔く振り返った。東洋大、早大、駒大の３強に次ぐポテンシャルを秘めた日体大。だが、その力を存分に発揮することはできなかった。

　予期せぬアクシデントが襲ったのは大会約１週間前。突然、ノロウイルスが広まり、気がつけばメンバー５人が発症していた。その１人が主軸を担う１区の出口。２日間うなされ、その後の５日間は調整程度の練習しかできなかった。出口はそれ以前の１１月にも左ひざを負傷。２区・野口も同時期に左足甲と足底を痛め、一時は出場も危ぶまれる状態だった。

　それでも、別府監督は両エースの起用を決断。その一方で傷口を広げないために、チーム全体に手堅い走りを徹底させた。「絶対に前に行かない。集団で行く」と肝に銘じた出口は早大・大迫らが飛び出しても慎重なレースを展開。結果、４位と健闘し、「悪いなりにまとめられた」。だが、続く野口は１時間９分を切るまずまずのタイムながらも区間１４位に終わり、「ふがいない走りをしてしまった」と顔をゆがめた。

　往路メンバーでは５区の高田翔二（２年）も体調不良から回復したばかり。万全な状態なら違った結果になっていたかもしれない。だが、選手は「言い訳にできない」と口をそろえる。チーム内に同じノロウイルスが蔓延（まんえん）した４年前は総合４位と躍進。今回もチャンスは残されている。「（復路は）片手、できれば３番くらいを狙いたい。オーダー？　いじると思います」と別府監督。６３年連続出場を誇る名門の闘志はまだ消えていない。

　◆日体大のノロウイルス感染　０７年大会直前の前年１２月上旬に、エース・北村、保科主将ら主力選手計１２人が次々と感染。メンバー変更はせず臨んだ往路は３位で乗り切り、復路も７区・鷲見の区間賞などで総合４位に入り、前年の９位を上回った。