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野村監督「優勝を目指す」 原田病院の講演会で熱く

行政・くらし

カープの野村新監督が、小学生時代から監督就任まで話した

重本憲一郎院長と記念撮影(上)。来場者抽選プレゼントなど、ファンサービスも盛り上がった

 「野村監督、頑張ってください」―。昨年11月29日にあった、医療法人社団一陽会・原田病院(広島市佐伯区海老山町、重本憲一郎院長)の創立35周年記念「第20回健康フェア」で、ファンの期待の声と大きな拍手がわいた。特別講演で来場した、広島東洋カープの野村謙二郎新監督に対する期待の声だ。野村監督は「優勝を目指します」と力強く話し、聴衆にこたえた。小紙1月1日号に続き、講演の内容を紹介する。
 演題は、「野球人生で学んだこと」。バットとグローブを誕生日プレゼントにもらった小学生時代、甲子園を目指した高校時代、五輪出場した大学生と略歴を追った。ドラフトの話題になると自身を置き、昨秋のドラフト会議の話に。満足行く結果であったこと、若手をスターにしてカープの黄金時代を築きたい思いを話した。
 そして話は、自分の選手時代に戻った。「自分もね、複数の球団から話がありましたよ」と回想する。希望を絞った基準は、「起動力は負けないよ、という自負があった。巨人や阪神は自分のプレースタイルと違うから」。カープ選手・野村謙二郎の誕生である。

故・三村氏の教え〜レギュラーへの道
 カープに入団したが、プロ生活は甘くない。「無理だと思った」と首を振る。当時のカープは投手王国。内野には、名遊撃手の高橋慶彦選手がいた。何より、プロのバットスピード、ネットに当たるボールの音が違った。「3年頑張ろう。それで駄目なら」と覚悟した。
 転機は、2年目。高橋慶彦選手がトレードで出た。「(レギュラーを)『はい、どうぞ』は大嫌い。ようし、絶対に(高橋慶彦選手より)いいプレーをしよう」と、ここで生来の負けん気が出たようだ。しかし、「カープのショートというプレッシャー」で、自分でも信じられないようなミスをするように。コーチに怒られさらに萎縮した。泥沼である。
 「お前、スーパーマンみたいなことをしようとしてないか?」。当時の内野守備コーチ、三村敏之氏が見かねて言ったそうだ。「できることとできないことがある。できることだけ、やれ」とも。言葉に従った。気負いは、消えた。
 ここで、話は昨年に戻る。11月3日、三村氏が急逝した。「恩師の訃報に腰が抜けた」と声を絞り出す。三村氏にはカープの監督に就任したことを伝えたそうで、「やっと(監督)か。頑張れ」との言葉をもらった。最後に交わした言葉でもある。「(采配を振るう姿を)恩師に見せられなくて残念」。視線を、落とした。

絶対優勝してやる〜秋季キャンプの様子
 「練習した方が勝ち」と言う。意味のない素振りはあった、コーチに怒鳴られ「コノヤロー」と思うこともあったと数え上げる。しかし、「今では感謝している。怒られる、声を掛けられるというのは大切」。もっとも、「怒る方がもっと辛い」と本音も漏らした。
 再び話題は今年に。監督就任で、「練習が増えると選手も覚悟していたようです」と、秋季キャンプの手ごたえを話す。「僕としては当たり前」。これで厳しいと思われるなら時代が変わったな、とも。結果は、「選手は頑張ってくれた」と満足そうに。春のキャンプも、肉体はもちろん頭も疲れてもらうと声を弾ませる。
 勝つために素晴らしい球場ができた、素晴らしいファンにも恵まれたと改めて挙げる。「後は結果を出すこと」。クライマックスシリーズ進出の「3位以内」狙いはしないと話し、「絶対優勝してやる」と心構えを口にした。会場は大拍手で沸いた。「そして優勝したらね」と、いたずらっぽく。全国の、カープの優勝はないと見る人から、「すごいな、カープ。どうやったんだ?」と聞かれた場合を仮定する。ちょっと間を置いて身を正し、澄ました顔をしながら、「『いや、普通のことをやったまでです』というつもりです」―。

同じ練習でいいか〜野球少年から質問
 最後は、質問の時間。野球少年から、「たくさんヒットを打つにはどうしたらいいですか?」と聞かれた。
 「他人と同じ練習をしてると、他人も同じく上達してるよ」と答える。「例えばテレビを見ている時、ボールとグローブを持ってみれば」と挙げる。ボールを、はめたグローブに投げることはできると。数分程度のコマーシャルの間に腹筋や背筋もできると。
 9回裏、二死満塁で打順が回ってきた場合。「『打てたらいいな』と『絶対打つ』は、意欲や気持ちが全然違う」と言い切る。前者で打ったのは所詮たまたま、打てると思って凡打すれば努力する。「この繰り返しが強いバッターをつくる」と自身の経験で力強く訴えた。
 「野球も人生も、そんなに良いことはない」と含みを持たせる。野球の世界では、3割打者は一流。7割失敗しても、3割の成功で評価される。「そういうつもりで、頑張ってください」。最後の口調は、柔らかだった。
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