時代劇の技守り38年、職人集団「映像京都」解散

手がけた映画のスケッチを前に「映像京都」解散について思いを語る西岡善信さん(31日午後6時25分、京都市嵯峨天龍寺若宮町)
手がけた映画のスケッチを前に「映像京都」解散について思いを語る西岡善信さん(31日午後6時25分、京都市嵯峨天龍寺若宮町)

 大映倒産後、映画美術監督の西岡善信さん(88)ら大映京都撮影所のスタッフが発足させ、数多くの映画やテレビドラマを手がけた製作会社「映像京都」(京都市右京区)が31日、解散した。代表の西岡さんの高齢が理由。京都の時代劇の技を守り、育ててきた職人集団が38年の歴史に幕を下ろした。

 映像京都は、大映が倒産した翌年の1972年に俳優、監督、スタッフが大映京都の精神と技を次世代に伝える人材集団として発足させた。松竹京都撮影所(右京区)を拠点に活動し、美術、録音、撮影など約60人のスタッフが所属していた。

 映画では「薄化粧」(85年公開)など五社英雄監督作品、勅使河原宏監督「利休」(89年)、市川崑監督「どら平太」(2000年)「かあちゃん」(01年)など時代劇から現代劇まで計20本以上の製作に携わった。西岡さんとスタッフが個人で参加した作品も含めると、50本を超す。

 テレビドラマも「木枯し紋次郎」のほか、関西テレビなどで今秋放映予定の「球形の荒野」など200本以上を手がけてきた。

 映像京都は、映画撮影本数の減少などで撮影所の若手養成機能が失われる中、「京都ならでは」の時代劇の製作技術を伝える場でもあった。発足時から代表を務めてきた西岡さんが高齢になり、後継者を探したが、プロデューサーと社長の重責を担える人材が見つからず、周囲に迷惑をかけない段階での解散を決めた。社員たちは今後、フリーランスで仕事を続ける。

 西岡さんは「京都の時代劇の灯をともし続けてきたことは大きな誇り。さみしいが、映像京都で学んだ若者たちが新たな人材集団を作ると信じている」と話している。

【 2010年08月31日 23時13分 】

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