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イチロー、引退グリフィーに“サヨナラ”打 (2/2ページ)

2010.6.4 05:03
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イチロー、引退グリフィーに“サヨナラ”打
サヨナラ勝ちに大喜びするイチローとガッツポーズのティンズリー一塁コーチ(背番号8)。電撃引退を発表したグリフィーへ贈る一打となった(共同)【フォト】

 普段はクールなイチローも、このときばかりはチームメートと抱き合って喜びを爆発させた。サヨナラ安打には格別の思いがあった。

 「あまりにも突然すぎて、(気持ちが)混乱した状態でゲームをしていました。去年の春(第2回ワールド・ベースボール・クラシック)の最後の打席は僕の野球人生で最も雑念の多かった打席と言いましたが、その次に雑念の多い打席と言えるでしょうね」

 雑念の原因は試合前、あこがれの存在と公言していたグリフィーが引退を表明したこと。4打席目までは、2007年9月23日以来の3三振(いずれも空振り)とふるわなかった。

 1−1で迎えた延長十回二死一、二塁。カウント2−2から6球連続ファウルで粘った後、左腕のホセ・ミハレス投手(25)の外角スライダーをとらえ、二遊間に運んだ。打球を止めた二塁手が二塁ベースに入った遊撃手へ送球したが、判定はセーフ。この日の初安打となる間に、二塁走者が一気にサヨナラのホームを踏んだ。

 打球が飛んだ二塁ベースの後方には、球場整備員が砂で描いたグリフィーの背番号「24」があった。「本当はあの24のところを抜けていってほしかったけど、それでも最後はあの24のところに飛んでいったから…」

 オリックス時代の1999年にマリナーズのキャンプに参加し、初めてメジャーを感じさせてくれたのがグリフィーだった。かつての主砲は昨季マ軍へ復帰。イチローは中心打者になっていたが、グリフィーは大切な友人であるとともに、あこがれの存在であることは変わらなかった。

 「人の心の痛みが良く分かる人だった。僕の中では、守られているという意識がすごく大きかった。(サヨナラ打に)ジュニア(グリフィー)とのいろんなことがよぎりましたね」

 人なつっこい笑顔はベンチでもう見ることはできない。天才が恩人へ、生涯忘れることができない一本を贈った。



フォト
サヨナラ勝ちに大喜びするイチローとガッツポーズのティンズリー一塁コーチ(背番号8)。電撃引退を発表したグリフィーへ贈る一打となった(共同)
延長十回にこの日の初安打となる二塁内野安打(共同)
二塁ベース後方には砂でグリフィーの背番号「24」が描かれた(AP)
昨年8月、チームの集合写真を撮影する際にグリフィー(左)からくすぐられて大笑いするイチロー(撮影・リョウ薮下)
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