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経済

“大阪最後の一等地”梅田北ヤード再開発 

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梅田北ヤードの先行開発区域の完成予想図

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建設が進むJR大阪駅の新駅ビル(右)に隣接する梅田北ヤードでは、先行開発区域約7ヘクタールで基礎工事が進む。貨物駅機能は2013年に移転する予定だ=大阪市北区

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 JR大阪駅北側にある梅田北ヤードの再開発事業が始まった。“大阪最後の一等地”とされる約24ヘクタールのうち、約7ヘクタールが先行して3月末に着工。ロボットや情報技術(IT)の研究開発を進める「ナレッジキャピタル」(知的創造拠点)をつくり、2013年3月の完成を目指す。人口減少など地盤沈下の著しい関西だが、関係者は再生の起爆剤として、アジアからの集客をシナリオに描く。(松井 元)

 JR大阪駅とその北側はクレーンが林立し、建設ラッシュさながらだ。大手百貨店の三越伊勢丹が入る新駅ビルが建設中で、北ヤードでは基礎工事が急ピッチで進む。

 北ヤードの先行開発区域はコンペで、三菱地所とオリックス不動産などの企業グループが事業主体となった。地上33〜38階建てのビル、同48階建てマンションなど高層ビルが計4棟建ち、商業施設やホテル、オフィスなどが入る。

 新しい街の核となるのが「ナレッジキャピタル」だ。6月中旬、その一端に触れられるイベントが開かれ、2日間で6千人以上が来場した。

 会場のテレビ画面に映し出されたのはサッカーの試合。視聴者はリモコンで、シュートを放つ選手を追いかけたり、守備の動きをチェックしたりできる。1台では映りきらない場面を、カメラ数台を駆使して撮り、切れ目なく滑らかに映す。

 この最新技術を開発したNTTサイバースペース研究所(神奈川県)の松浦宣彦主幹研究員(45)は「実用化に近い技術について、利用者の声を直接聞けるのはありがたい」と評価する。

 延べ約8万8千平方メートルの拠点には研究者らの交流施設やオフィスのほか、成果を直接来場者にPRするスペースなどを設ける。期待感を背景に、NTT西日本やパナソニック、大阪工業大など40を超える企業や団体が進出を表明している。

     ◇

 現在も貨物駅としてコンテナの積み降ろしが行われている梅田北ヤード。先行区域が完成する2013年に貨物駅の機能が移転する予定で、関係者の目は2期区域に注がれている。

 関西経済連合会の下妻博会長(73)は「北ヤード成否の鍵は、2期をどういう姿にするか」だと指摘する。大阪市は、JR京都線と大阪環状線とを連絡する線路と駅の地下化を計画する。関西国際空港を結ぶJR特急「はるか」を停車させて、アジアをはじめ世界と関西をつなぐゲートウェイ(玄関口)とし、人を呼び込み全体のパイを大きくして活性化を図る‐。そんなシナリオが描かれている。

 ITやロボット技術に続いて、2期のテーマに挙がるのは「環境」。アジアへの技術移転や環境技術の基準づくりの拠点とする考えだ。関西が得意とする分野をさらに強化する。

 下妻会長は強調した。「先を見通して、本当に関西のためになる姿を考えないといけない」

 【梅田北ヤード】1874(明治7)年に梅田貨物駅が開設。1987年に、国鉄改革で旧国鉄清算事業団に承継され、売却しようとしたが、貨物駅の機能移転が難航した。移転先の環境悪化が理由で、吹田操車場跡地(大阪府吹田、摂津市)と百済貨物駅(大阪市)に半分ずつ移すことが決まったのは2006年。04年に大阪市と地元経済界などがつくったまちづくり基本計画に基づく開発事業が本格的に動き始めた。

(2010/06/27 15:00)


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