緑があざやかな季節ね。山や野原へピクニックに行きたいわ。
遠出しなくても、まちの中でも新緑を楽しめるよ。冬は葉の落ちていた街路樹も、生き生きとしげっている。花をつけるのもあるし、秋は紅葉も楽しみさ。街路樹があると心が安らぐよね。
街路樹にはどんな木が多いのかしら。昔も今も変わらないの?
以前から変わらぬ人気の木もあれば、最近、増えている木もあるんだ。いろいろな役割のある街路樹は、まちづくりに欠かせないものになっている。身近な緑に目を向けてみよう。
(順位と本数は2007年。国土交通省・国土技術政策総合研究所調べ)
■1位 イチョウ 57万本
中国原産。雄木と雌木があり、街路樹には雄木が多い。円錐形の独特の姿の木で、秋に黄葉する。東京都、大阪府、神奈川県の木。種子のギンナンは秋の味覚として人気。
■2位 サクラ 49万本
ヤマザクラやヤエザクラなど多く種類があるが一番人気はソメイヨシノ。江戸時代末期に新品種として生まれ、全国に広まった。種子ではなく、接ぎ木などで育てられる。
■3位 ケヤキ 48万本
木陰を楽しむ木として人気がある。紅葉は木ごとに赤や黄に色づく。高さ20~25メートルに育ち、巨木が国や自治体の天然記念物になっている。宮城、福島、埼玉の「県の木」。
■4位 ハナミズキ 33万本
北アメリカ原産。大正時代に東京都(当時は市)がアメリカに贈ったサクラのお返しとして日本に入った。高さ5~7メートル。春は白い花、秋は紅葉と赤い実を楽しめる。
■5位 トウカエデ 32万本
中国原産で、「唐楓」と書く。紅葉が美しい。カエデやモミジは葉が五つにさけたものが多いが、トウカエデの葉は三つにさけている。サンカクカエデともいう。
■6位 クスノキ 27万本
街路樹の上位種では唯一の常緑樹。葉に厚みがあり、よく茂るので防音効果があるとされる。兵庫、佐賀、熊本、鹿児島の「県の木」。ショウノウの木として有名。
ショウノウ……クスノキからつくる白くて香りの強い結晶。防虫剤などの原料になる。
■7位 モミジバフウ 20万本
アメリカ大陸の原産で日本には大正時代に入った。葉の形がモミジに似ていて、紅葉が美しい。高さ30メートル以上にも育つ。アメリカフウとも呼ばれる。
■8位 ナナカマド 20万本
紅葉があざやかで、赤い実をつける。非常にかたく、「7回かまどに入れても燃えない」のが名前のいわれとされる。木炭の一種、備長炭の材料になる。
■9位 プラタナス 16万本
世界中で見られる街路樹の一つ。プラタナスの並木を「鈴懸けの道」という。落葉後、鈴のような実が枝にぶら下がるので、「スズカケ」の名がある。
■10位 カエデ 15万本
植物の分類上はモミジと同じ。秋をいろどる紅葉の代表だ。日本で最も多く見られるのはイロハモミジ。カエデは山梨、モミジは滋賀と広島の「県の木」。
■番外 フクギ
高さ10~20メートルの常緑樹。並べて植えると緑の壁のようになり、防風林や防潮林に利用される。
国土交通省(国の役所)の国土技術政策総合研究所が2007年に行った調査によると、全国の道路に沿って植えられている高木の街路樹は約667万本。木の種類は500種を数えるが、上位の10種で全体のほぼ半分(47.5%)をしめる。本数は20年前に比べると1.8倍に増え、街路樹の整備が進んでいる。
背の低い中低木のものは約1億6000万本で、20年前の2.8倍になっている。ツツジが全体の4割近くをしめる。
ニュースがわかる6月号
2010年6月11日