2010年4月16日14時59分
沖縄で縄文人骨の発掘調査が続いている。かつて日本人の流入ルートとも想定された南西諸島だけに、彼らが現代人につながるのかどうか、注目を集めているようだ。
沖縄県南城市の武芸洞では2007年度から同県立博物館・美術館が発掘をしている。近くには、旧石器時代の全身骨格として有名な港川人(1万8千年前)の発見場所がある。港川人に連なる古人骨の発見がねらいだ。
■縄文人骨の発掘続く
武芸洞では、縄文晩期から弥生並行期とみられる石棺墓から、少なくとも3体分の骨が見つかった。うち1体は、小柄で上から見た頭の形が丸い、南西諸島に多いタイプの男性だった。その下に2体分があり、一部の骨が足りないなど手が加えられていた。洞穴内には6千年前の縄文前期ごろの爪(つめ)形文土器もあった。この時期の人骨は見つかっていないが、「周辺に墓があったかもしれない」と同館の藤田祐樹さんは期待する。
1970年代から発掘が続く伊是名村の具志川島遺跡群では、最近でも沖縄県立埋蔵文化財センターの調査で縄文後期の骨が見つかった。風葬を思わせる埋葬もあった。土井ケ浜遺跡・人類学ミュージアム(山口県下関市)も2007年度から3カ年かけて、糸満市の摩文仁ハンタ原遺跡を調査。縄文後期を中心にした人骨約50体を分析中だ。
研究者が沖縄に注目するのは、骨を残しやすい石灰岩質の土壌で旧石器時代の骨が集中しており、縄文時代以前の人々の動きを推測できる可能性を秘めるからだ。
かつて、日本人の祖先は南西諸島を北上して縄文人になった、との説が唱えられた。アイヌと沖縄の人々はともに縄文人の“直系”であり、今日までその形質を伝えるとの仮説も提出された。
だが、これらの説に対しては異論もある。