isMedia
open

アイスランド、女が頼みの銀行再建 若い男のエリート集団が壊したシステムの後始末


(2008年10月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

アイスランドは国の金融システムの再建を2人の女性に託すことになった。ビジネススクール出身の若い男性エリート集団が築いた銀行帝国の崩壊を受けてのことだ。

 今回の危機のさなかにアイスランド政府が国有化し、新たに発足させた新ランズバンキ銀行と新グリトニル銀行のCEO(最高経営責任者)に、エリン・シグフースドッティル氏とビルナ・エイナルスドッティル氏がそれぞれ就く。ある閣僚によれば、2人の指名には、同国銀行システムの新しい文化を発信する狙いがあるという。

 積極果敢な国際展開で悪名を馳せたランズバンキ、グリトニル、そしてカウプシング銀行は先週、自らの債務の重みに耐え切れず事実上破綻し、アイスランド経済を破産の瀬戸際に追い込んだ。

 以来、アイスランドでは責任の所在を巡って非難が飛び交っている。中でも人気の攻撃相手は英国政府だ。だが多くの人は、若くて圧倒的に男性が多い銀行家も批判している。ある銀行家が自ら認めるように、「身の丈に合わない欲を出した」面々だ。

 ある政府高官は言う。「今、女性が事態の収拾に乗り出した。全くもって典型的なことですよ。男性が散らかした後に、女性が出てきて片づけるんだから」。

 政府は先週、新ランズバンキを発足させ、シグフースドッティル氏をトップに据えた。13日に発足準備が進められた新グリトニルのCEOにはエイナルスドッティル氏が就くと見られている。

 新任CEOは2人とも、破綻した銀行の内部からの昇格。シグフースドッティル氏は2003年以来、ランズバンキの法人銀行部門のトップを務め、エイナルスドッティル氏は昨年夏にグリトニルの国内商業銀行業務の責任者に就いていた。両氏は今後、過去5年間でアイスランドに根づいた、報酬目的でリスクを取る文化を抑え込むと見られている。

 国有化された同国銀行は、傾いたアイスランド経済にカネが回り続けるよう、国内業務のみに専念する。今、新カウプシングも発足準備が進められている。

 各行の最初の課題はアイスランドの通貨クローナの取引を始めることだ。クローナの売買は先週、全面的に滞り、大半のアイスランド企業が取引先に支払いができない状況に陥った。

 破綻した3行の外国資産は売却が進められているものの、破格の安値になるのは間違いなく、資産売却でいくら手に入るか分からない。

 新たに生まれ変わった銀行は再び国際展開に出るかという本紙(フィナンシャル・タイムズ)の問いかけに、アイスランドのゲイル・ハーデ首相はこう答えた。「今は何を言うのも時期尚早だが、以前のような大規模な展開はない」。

By Sarah O'Connor in Reykjavik
© The Financial Times Limited 2008. All Rights Reserved.

ありがとうございます。皆様の評価・ご意見をお寄せください
ご利用にあたっては、会員登録をお願いいたします。


Average:??%
50%

0%Recommend100%
Login Result

読者の注目記事
ヒット記事
主要記事
JBpress Focus
recommend
  • loading
コラム[Financial Times]の最新記事
Reader's Comments
関連記事
関連キーワード検索(クリックで検索結果表示)
欧州経済 公的支援 アイスランド 通貨不安 金融制度・政策 経済・金融危機 経営破綻
Back to top