米政府、石綿汚染で緊急事態を宣言

　【ワシントン＝山本秀也】米環境保護局は１７日、アスベスト（石綿）を含むバーミキュライト原鉱石（蛭（ひる）石）の世界的な産地となってきたモンタナ州リビー地区に対し、「公衆衛生に関する緊急事態」を宣言、６００万ドル（約５億７５００万円）の交付金給付などを決めた。アスベスト問題で、米政府が緊急事態を宣言したのは初めて。

　バーミキュライトは建築材や土壌改良に利用されるが、リビー地区では、１９９０年の鉱山閉鎖までその世界消費量の約７割を産出してきた。鉱山や加工工場が主な産業だった地区内では、兵庫県尼崎市で問題化した中皮腫など、アスベスト肺疾患による死者が２００人以上に達している。

　米政府は、２０００年から土壌汚染の除去などを進めてきたが、環境対策のほか、１０００人以上に上る肺疾患患者への医療支援を進めるため緊急事態を宣言した。