中国・台湾:直行便を定期化し大幅増 窓口トップ合意

2009年4月26日 21時43分 更新:4月26日 23時14分

 【南京・鈴木玲子】中国江蘇省南京で26日、中国の陳雲林・海峡両岸関係協会(海協会)会長と、訪中した台湾の江丙坤(こうへいこん)海峡交流基金会(海基会)理事長による中台窓口機関のトップ会談が行われた。会談後、(1)直行チャーター便の定期便化と便数の2.5倍増(2)重大犯罪や経済犯罪の捜査協力(3)金融分野の相互参入に向けた準備への取り組み--の合意文書に調印した。規制している中国からの台湾投資を認めることでも一致。台湾経済の低迷を背景に、中国の「台湾救済」が鮮明に表れたと言えそうだ。

 トップ会談は昨年6月に約10年ぶりに再開してから3回目。次回は今年後半、台北で開くことでも合意した。

 航空便は、週108便から270便となり、中国の発着空港は6カ所増えて27カ所になる。中国の台湾への観光客解禁で直行便の需要が増え、景気浮揚を狙う台湾側からの強い要請があった。大幅増によって中国側は台湾支援をアピールした形だ。

 犯罪捜査協力では▽犯罪人引き渡し▽関連機関の相互訪問や訓練協力▽誘拐、武器、毒物など中台間をまたぐ重大犯罪やマネーロンダリング、通貨偽造などが主な内容となる。金融協力は、将来的な相互参入の実現に向け、銀行、証券、保険の3分野での管理監督機構の設立などを決めた。

 中国企業の台湾への投資に向け、関係部門が連絡機構を設立することも確認した。

 中国側が台湾支援策を相次いで打ち出す背景には、台湾の中国依存度を高め「中台統一工作」を加速させようとする狙いがうかがえる。中国側の陳会長は会談の冒頭、「中台が共に手を携え、平和的発展の道にある困難を克服し、ウイン・ウイン(共に勝者となる)の経済発展を生み出そう」と呼びかけた。

 一方、台湾側の江理事長は合意文書調印後の記者会見で「対話の常態化は中台関係の平和・安定の重要なバロメーターだ」と評価した。

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