千代大海１３敗！カド番制度に横審から疑問…春場所千秋楽

千代大海は琴欧洲に敗れて肩を落として土俵を後にした

　◆大相撲春場所千秋楽　○琴欧洲（寄り切り）千代大海●（２９日・大阪府立体育会館）　大関・千代大海が「史上最弱大関」の不名誉記録を更新した。大関の琴欧洲に寄り切られ、１３敗目。１場所１５日制が定着した１９４９年夏以降の皆勤した大関で、史上最低の成績となった。夏場所（５月１０日初日・両国国技館）での１３度目のカド番も史上ワースト。一部の横綱審議委員から、カド番制度の改革を提案する声が出た。１４日目に１０度目の優勝を決めた横綱・白鵬は結びで横綱・朝青龍を破り３度目の全勝Ｖを達成。

　白星への気力も感じなかった。千代大海は琴欧洲にほぼ無抵抗のまま寄り切られた。歴代大関で史上最悪の１３敗目。これまでは１９８８年秋の小錦ら５人の３勝１２敗が最低だった。長い大相撲の歴史で汚点を残し「かける恥はすべてかいた。名前が残っていいでしょ」。痛めた左脇腹を押さえながら自虐的な言葉で屈辱をかみしめた。

　武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）は「来場所頑張ってもらうしかない」と奮起を促したが、外部は甘くはなかった。横綱審議委員会の石橋義夫委員は「大関は何があっても常に２ケタが責任」と激怒。夏場所を史上ワーストの１３回目のカド番で迎えることにも憤慨し「カド番に何回以上、落ちたら引退などの改革をする必要がある」と提案。すでに場所中、澤村田之助委員も同様の考えを示しており、３０日の委員会でふがいない大関陣へ何らかの勧告が出される可能性が浮上してきた。

　周囲の逆風に千代大海は「今場所はおふくろとおやじに逃げないで戦えと言われ出続けた。次にやるだけやってダメなら考える」。糖尿の悪化も不振の原因と告白した上で、夏場所に進退をかける覚悟を示した。師匠の九重親方（元横綱・千代の富士）も「来場所は進退」と明言。大麻問題など土俵外で不祥事が連続する角界。情けない大関はいわば土俵内の不祥事だ。改革の覚悟がなければ土俵の充実は図れない。