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少女漫画家志望を狂わせた東京の「だめんず」…漫画家・倉田真由美さん[私の上京物語]

福岡から上京したときの思い出を語った倉田さん。新宿の街を歩く

 人気コミック「だめんず・うぉ~か~」で知られる漫画家の倉田真由美さん(36)は1990年、一橋大入学を機に、故郷の福岡市から上京した。少女漫画の世界に浸ってきた「妄想少女」が、東京で現実の男性に触れ、世界が一変。失恋を経て「だめんず」に翻弄(ほんろう)される運命に突入していった。

 今でこそギャグマンガで知られる倉田さんだが、「りぼん」愛読の福岡時代は少女漫画家志望。在籍した県立福岡高校は共学だったが、男子を一切顧みることなく、少女漫画の世界に没頭。10作以上を投稿し「小学館や集英社がある東京にすごくあこがれていた」。

 大学は迷わず東京に。一橋大受験の際、両親に隠れて描いていた漫画を、かばんにしのばせた。入試前日、「題名は『太陽の指輪』だったか…。女の子が男の子に一目ぼれしてっていう、ありがちなストーリー」という作品を手に、デビューを夢見て出版社巡り。最後に回った講談社で「まずは受験をしっかりやれ」と、もっともなことを言われたという。

 一橋大に合格し、小平キャンパス近くのアパート(1K)で一人暮らしを開始。「これだけは」と故郷から持ってきたのは、使い慣れた画材や漫画、「心の恋人」が登場する吉川英治の「三国志」や「宮本武蔵」、「シャーロック・ホームズ」などの小説だった。

 ところが、学校が始まった途端、「そんなものは一切、いらなくなった。日々の生活が楽しくて、刺激的で」。マネジャーとして入部したサッカー部の主将に初恋。漫画は描かなくなり、漫画家志望だったことも「恥ずかしい」と隠して生活。恋愛に夢中になった。

 しかし、それまで妄想だけで生きていたことがあだになった。常人の感覚が欠落していたためか、付き合ってもいない主将に、肉じゃがやお弁当を作っていく「少女漫画的感覚」でアプローチ。「重い」「ウザイ」と振られた。

 2年時には東京育ちでブランド好きのシティーボーイに恋。「胸のワニ(ラコステ)や馬(ラルフローレン)の意味が分からず」またしても玉砕。「思えば私が振られた男たちは、みんな東京出身でした…」

 バブル期の当時「ジュリアナ東京」に一人で通って踊り狂ったり、雀荘でバイトするなど、何かとちぐはぐだった“大学デビュー”。結局、「今考えると、あまり好きではなかった」男性と、21歳の時に初交際。別れ際、倉田さんの家具をすべての持ち去る男や、「中国マフィアに狙われている」とウソをつく男など「だめんず」体験の始まりだった。

 学生時代の終わり、倉田さんは「やっと客観的に自分を見られるようになり」ギャグマンガを描き始める。「上京していなければ『だめんず―』もなかった。別の人生だったでしょう」

 この春、上京してくる少女たちには「最初は自分が本当に好きだと思える男と付き合え」と、重すぎるメッセージを残していた。

 ◆倉田 真由美(くらた・まゆみ)1971年7月23日、福岡市生まれ。36歳。県立福岡高校から一橋大商学部へ進学。就職活動に失敗したが、ヤングマガジンギャグ大賞で大賞受賞。28歳で結婚後、2000年に雑誌「SPA!」で漫画「だめんず・うぉ~か~」がブレーク。その後、離婚。現在は長男(7)のいる福岡と東京を往復する生活を続けている。

 ◆1990年の出来事 大学入試センター試験がスタート。俳優・勝新太郎が、ホノルル国際空港でコカイン所持が発覚し、逮捕される。ローリング・ストーンズ初来日公演。巨人がセ・リーグ史上最短優勝を達成するも、日本シリーズで西武に4連敗。礼宮さま、紀子さまご結婚。鈴木亜久里がF1日本グランプリで、日本人初の3位表彰台。雲仙普賢岳噴火。

 ◆福岡市 九州屈指の商業、ビジネスの都市。天神を中心に商業施設が充実、歓楽街としては中洲が有名。博多キ園山笠、どんたくなど勇壮な祭り、明太子やラーメンなどの名物も多数。

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(2008年3月12日06時06分  スポーツ報知)

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