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グロはOK!? 「キューピー」いじられまくりのワケ

著作権失効でキャラクター使用は合法

 今年はキューピーのキャラクター生誕100年。日本ではマヨネーズ製造大手「キユーピー」が有名だが、そのキユーピー社がキューピーのイラストを商標登録した男性を訴えていた裁判で、知財高裁は先月、キユーピー社側の主張を認める審判を下した。男性はキューピーの作者の遺族から、イラスト使用の許可を得ていたが、商標権は認められなかった。だが、ちょっと待った。巷にはキューピーを素材にした商品があふれている。中には、頭が大便型だったり、内臓をあらわにした無残なものも。“元祖”はダメでもグロはOKなのはナゼなのか?

 知財高裁でキユーピー社と争っていたのは、キューピーグッズの収集家で「日本キューピークラブ」代表の北川和夫氏(69)。北川氏は2006年に飲料水用の商標としてキューピーのイラストを登録したが、キユーピー社は「(自社の商標と)混同の恐れがある」として特許庁に商標登録を無効とする審判を申し立てた。

 キューピーは1909年、米国のイラストレーター、ローズ・オニールさんによって描かれたキャラクター。北川氏はオニールさんの遺族から、元祖のイラスト使用許可を得て商標登録した。

 キユーピー社の訴えに対し、北川氏は「正統な継承者の主張が認められないのはおかしい」と徹底抗戦したが、判決は「日本でキューピーといえばマヨネーズ」と、同社の主張を全面的に認めるものだった。同社の広報担当者は「当社は、すべての飲食料に広く商標を登録している。これを侵害するものは、個別に判断し、場合によっては訴える」と語る。

 しかし、その一方で、世間には「ご当地キューピー」をはじめとする、多くのキューピー関連グッズが発売されている。

 中でも異彩を放つのが、円谷プロ傘下の会社が発売する「ぴ〜きゅ〜(PQ)」だ。全8種類の携帯ストラップだが、そのウリは、やり過ぎともいえるデフォルメぶり。太らせたりマッチョにさせたりは当たり前。なかには、顔が大便型の「ブリQ」や、解剖模型のように内臓があらわになった「グロQ」など悪趣味なものも。

 「(円谷プロの)技術力を生かし、実験的に作った」(同社関係者)というが、当然、キユーピー社は怒り心頭に違いない、と思いきや…。

 「北川氏との裁判は、当社に認められている商標権の争いですが、キューピーの著作権は失効しているため、デザインに口を挟める立場ではないのです」(広報)と言う。どういうことか?

 日本大学の板倉宏名誉教授(法学)は、「キューピーを会社のロゴや商品の『顔』として使用すると商標権に抵触する。しかし、キャラクターそのものについての使用権は著作権の範疇ですから、著作権が失効しているキューピーそのものを商品として扱うのは何ら違法ではないのです」と説明する。

 とはいえ、キューピーがいじり倒されている現状には、裁判で争ったキユーピー社、北川氏ともに胸を痛めている。

 北川氏は「キューピーが残酷にいじられるのは忍びない。本来のかわいいイメージを崩してほしくない」と訴えている。

ZAKZAK 2009/01/05

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