任天堂は1980年に携帯型ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」を市場に投入した。この製品は4800万台以上販売され、大ヒット商品となった。同社にとっては、1977年に発売した専用LSI搭載型のゲーム機「カラーテレビゲーム」に次ぐ家庭用ゲーム機である。この2品種を手掛けた経験が、後にファミコンを生む原動力になる。現在市販の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」はゲーム&ウォッチの後継機。今回は、このゲーム&ウォッチを発想してから、製品コンセプトを固めるまでを紹介する。

 1977年に登場した専用LSI搭載型ゲーム機に続き、任天堂の大ヒット商品になったのが「ゲーム&ウォッチ」である(図1)。1台のゲーム機で2種類のゲーム・ソフトを内蔵してある。時刻の表示機能もある。

 1980年の発売以来、8年間で約70機種をシリーズ展開し世界の市場に投入した。販売台数は4800万台を超える。ゲーム&ウォッチのシリーズ途中から採用され始めた十字ボタンがそのまま「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」に採用されるなど、ファミコンの設計にも大きな影響を与えた。現在市販の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」は、ゲーム&ウォッチの後継機として開発したものである。

図1 ゲーム&ウォッチを1980年に発売(画像クリックで拡大)