先週『Windows 98』に対するサポートが完全に終了したが、Microsoft (NASDAQ:MSFT) は時を同じくして、『Windows Fundamentals for Legacy PCs』の提供を、保守/ライセンスプログラム『Software Assurance』(SA) の顧客向けに始めた。これは、老朽化が目立つ旧型の Windows 98 時代のマシンを、実質的に『Windows XP』シンクライアントに変えることのできる OS だ。
Windows Fundamentals for Legacy PCs は完全な機能を備えた OS ではない。同 OS は、組み込みシステム用『Windows XP Embedded』の軽量版として、旧いシステムに対応するものだ。Windows Fundamentals for Legacy PCs を導入したシステムでは、セキュリティおよび管理ツール/ドキュメントビューア/『.NET Framework』アプリケーション程度しかローカル実行できないが、ほとんどのアプリケーションをサーバーから遠隔実行できるという。
そのため旧型システムでも、新しいハードウェアやソフトウェアにアップグレードすることなく、実質的に Windows XP と同等の環境を運用でき、Windows XP のもたらすすべての恩恵を得ることができる。また Windows Fundamentals for Legacy PCs は、Microsoft の『Remote Desktop Connection Client』や、Citrix の『ICA』クライアントなどサードパーティ製クライアントに対応している。
こうした戦略は、旧型マシンを使用し続ける顧客が Linux 移行を検討することを押し止めるかもしれない。しかしコンサルティング会社 Enderle Group の社長兼主席アナリスト Rob Enderle 氏は、Windows 98 時代のマシンが少なくとも5年から7年前のもので、ハードウェアがかなり安価に調達できるようになっている現状を考えれば、Windows 98 時代のハードウェアになおも固執するユーザーがいるだろうか、と疑問を投げかけている。
ハードウェアメーカー各社は、Windows Fundamentals for Legacy PCs に対して不満を抱いている模様だ。ハードウェアメーカーにとっては、旧いシステムを使い続ける道を残すより、新しいハードウェアにアップグレードするよう Microsoft に顧客を誘導してもらいたいためだと、Enderle 氏は指摘した。