それなら辛味大根はいったいどこから誕生したのでしょうか? 答えは、「こほね」です。平安時代の『和名抄』と『本草和名』には、「おほね」と別に、「温菘、和名古保禰(コホネ)」をあげています。辛味大根の最古の記録です。
この「こほね」につらなる大根は、江戸時代の書物にたくさん登場し、「今は国々里々種をとりて畠に作る」(『百姓伝記』(1682)と、人気もあり、全国各地で栽培されていたようです。
こうしたこともあって、日本の野生大根は、栽培品種が野生化したものだとする説が長く主流となっていました。しかし、栽培品種とは別の野生種もあるという説もあります。その説をとる専門家は、福島県の会津地方や山形県の庄内地方に残る野大根に注目して現地を視察。『古今要綱』(1842)の記述そのままの野生種との出会いの記録を残しています。
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