奥会津に訪ねる野性種の味わい
栽培品種の野生化? 別の野生種?辛味大根のルーツを探る。
それなら辛味大根はいったいどこから誕生したのでしょうか? 答えは、「こほね」です。平安時代の『和名抄』と『本草和名』には、「おほね」と別に、「温菘、和名古保禰(コホネ)」をあげています。辛味大根の最古の記録です。
この「こほね」につらなる大根は、江戸時代の書物にたくさん登場し、「今は国々里々種をとりて畠に作る」(『百姓伝記』(1682)と、人気もあり、全国各地で栽培されていたようです。
こうしたこともあって、日本の野生大根は、栽培品種が野生化したものだとする説が長く主流となっていました。しかし、栽培品種とは別の野生種もあるという説もあります。その説をとる専門家は、福島県の会津地方や山形県の庄内地方に残る野大根に注目して現地を視察。『古今要綱』(1842)の記述そのままの野生種との出会いの記録を残しています。
秦野大根と鼠大根(左) 辛大根と葛畑大根(右) 出典/『成形図説』(国立公文館)
地域振興の視点から、自生種の栽培に取り組む。
あさぎ大根 長さ10〜15cm、太い根元の直径が3cmほど。かたく長いひげ根がびっくりするほどたくさんついているのが特徴。このひげ根を折らないように、収穫も洗浄も手作業だという。
福島県会津地方にはいまも野生の大根があるとのことで、福島県大沼郡金山町を訪ねてみました。金山町では、古くから自生していたあざき大根を特産物として地域振興に役立てようと栽培しています。中心となって栽培している農家の方は、もともと自生のもののため、盛り土をしてうねを作り、油粕をやるだけ。虫害に強く農薬は不要で、ほとんど手間はかからないといいます。8月後半に種をまいて、11月半ばに収穫したというあざき大根は、すっきりと辛く、金山町名産のそばの甘みをよくひきたて、ほんとうに美味でした。
あざき大根のような野生種は、休眠性を持つ種子の性質から、一度、侵稙すると簡単には消滅しないといい、「こほね」に当たる中国の文字は野生大根を指すことから、もともとは「蘿蔔」より古い時代に穀類にくっついて西域から中国に渡来したという説もあるほどです。そういえば、あざき大根は肉質も辛さもホースラディッシュによく似ていますね。
栄養価や機能性にも期待 辛味大根の魅力
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