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本社とテレ朝、新たな提携枠組み合意 株式相互持ち合い

2008年06月06日20時44分

 朝日新聞社(秋山耿太郎社長)とテレビ朝日(君和田正夫社長)は6日、メディアグループとしての連携をより強力に推進するため、新しい提携の枠組みに合意した、と発表した。その基礎として、株式を相互に持ち合うことについても合意した。

 両社が提携を強化するのは、メディアを取り巻く環境が変化する中で、厳しさを増すメディア間競争を勝ち抜くのが狙い。それぞれの主軸となる新聞事業と放送事業との相乗効果を追求するとともに、番組や記事を複数の媒体で活用するクロスメディアの新戦略づくりや、両社の将来像を描く作業を進めていく。今後、第三者との提携を視野に入れた新規ビジネスにも取り組むことにしている。

 記者会見でテレビ朝日の君和田社長は「テレビ、新聞両社の提携をさらに拡大し、もう一本の柱、情報通信分野を加えて、メディアを再構築したい」と述べた。また、朝日新聞社の秋山社長は今回の合意について「朝日新聞社とテレビ朝日の提携関係強化のためと、朝日新聞社の株式の長期安定の二つの面がある」と述べた。

 両社はこの日、連携強化のため、関係役員らで構成する提携推進委員会を設置した。両社長が共同委員長を務め、月1回程度のペースで開催する。この委員会の下に(1)紙面と番組の連携(2)クロスメディア戦略(3)人事交流・合同研修の三つのワーキンググループを発足させる。今後さらに、報道部門の取材協力強化や広告、事業など各部門間の連携など具体的なテーマにしぼってワーキンググループを増やす予定。

 両社はまた、今回の事業提携を具体化するため、朝日新聞社がテレビ朝日株の約36%(朝日新聞の子会社の衛星チャンネル保有分を含む)を保有している状態を改め、相互に株式を持ち合う体制にした。

 具体的には、朝日新聞社の村山美知子社主が所有していた同社の株式のうち、発行済み株式総数の11.88%にあたる38万株を、テレビ朝日が239億4千万円で取得した。その一方で、朝日新聞社はテレビ朝日が来年以降の朝日新聞社の株主総会で議決権を行使できるよう、保有するテレビ朝日株式の比率を25%未満に下げる。

 今回、村山社主はテレビ朝日への朝日新聞社株の譲渡とは別に、朝日新聞社創業家である村山家ゆかりの財団法人香雪美術館の公益事業に対し、31万9千株を寄付。朝日新聞社はこの日、村山社主の要請に基づき、保有するテレビ朝日株5万300株を譲渡したが、村山社主はこの株式についても香雪美術館に寄付した。

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 7日付の朝日新聞朝刊経済面に関係記事を掲載します。

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