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エクアドル、コロンビアとの断交発表 緊張高まる

2008年03月04日10時37分

 南米のエクアドルは3日、隣国コロンビアとの断交を発表した。コロンビア軍がエクアドル領内にあった中南米最大の左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)の拠点を越境攻撃したことへの報復措置だ。この問題をめぐってはエクアドルに加えて、同じ左派政権のベネズエラもコロンビアとの国境地帯に軍を増派。エクアドル、ベネズエラ対親米右派のコロンビアの構図で緊張が高まっている。

地図

コロンビア軍が越境攻撃した地点

 コロンビアは1日、FARCの拠点を攻撃し、広報担当でナンバー2とされるレジェス幹部らを殺害したと発表。エクアドルのコレア大統領は「主権の侵害だ」と反発した。ベネズエラのチャベス大統領もレジェス幹部を「知り合いだった。よい革命家だった」と悼み、コロンビアを「ブッシュ(米大統領)に従属するマフィア」などと批判。在ベネズエラのコロンビア大使館の閉鎖を迫った。

 コレア氏とチャベス氏は5日に会談し、今後の対応を協議する予定だ。

 一方、コロンビア警察庁のナランホ長官は3日、押収したレジェス幹部のパソコンから、ベネズエラ、エクアドル両政府がFARCと連携していたことを示す書類を発見したと発表した。

 ナランホ長官は「ベネズエラがFARCに3億ドル(約310億円)以上を提供した」と指摘。「単に親しいだけではなく、軍事的結びつきを示唆するものだ」と述べた。

 これに対し、ベネズエラのカリサレス副大統領は「コロンビアのうそには慣れっこだ。どんなものでもでっちあげられる」と強く反発した。

 コロンビアでは、FARCなど左翼ゲリラや右派民兵との内戦が40年以上続く。親米右派のウリベ大統領は米軍と密接に協調し、FARCの鎮圧を図ってきた。一方、隣接するエクアドルとベネズエラはいずれも左派政権で、特にチャベス氏は強い反米姿勢を掲げる。コロンビア政府は以前からFARCがベネズエラ、エクアドル領内に逃げ込み、勢力を維持していると指摘していた。

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