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【放送芸能】

魔女ッ子アニメで外国語学ぶ『もえがく★5』 『子供』『教育』キーワード BSフジの語学番組

2008年1月29日 朝刊

 BSフジで、ユニークな語学番組が今月から放送されている。世界各国の“オタクのお兄さん”を助けるために魔女ッ子が奮闘するアニメを通じて、五カ国語を一気に学べる「もえがく★5」(月−金曜午後5時)。個性的な語学番組を次々と生み出してきた同局の語学番組戦略とは。 (宮崎美紀子)

 「もえがく★5」は、アニメ部分と、タレントが出演するスタジオ部分が合体した十五分番組。月曜から金曜まで同じストーリーだが、物語に登場する外国人オタクの国籍が曜日ごとに違う。月曜は米国、火曜は韓国、水曜はスペイン、木曜は中国、金曜はフランス。主人公・もえと外国人の会話を通じて、五カ国語のあいさつや、数の数え方などを学ぶ。日曜深夜には五カ国語分を一挙放送する。

 アニメの後のスタジオ部分では、アイドル声優・平野綾が、その日のアニメに出てきた国の子供と、言葉を練習する。

 アニメ部分は、フィギュア(キャラクターの模型)の入手方法、ゲームソフトの抱き合わせ販売、役に立たないアイドルグッズなど、秋葉原文化のハウツーものとしても楽しめる。

 NHKの語学番組に比べるとノリは軽いが、舞台裏は苦労の連続。編成営業局の高崎邦雄専任局次長が明かす。

 「曜日ごとに、わずかな部分だけ差し替えればいいと思っていたんですが…。『足』は、英語ではレッグとフットの二つがあるし、フランス語は両目と片目では全く呼び方が違う。スペイン語の『またね』は、次いつ会うのかで言い回しが違う。どの言葉が適切なのか議論になって、予想以上に大変です」。言葉は文化と密接につながっていて、五カ国語に直訳すればいいわけではない。「昔、(極北の先住民)イヌイットには雪の呼び方が何種類もあると聞いたのを思い出しましたよ」(高崎専任局次長)

 「もえがく★5」の原作はパソコンの英語学習ソフトで、ユーザーは主に大人の男性だが、番組は小学生がメーンターゲット。小杉雅博編成部長は、「本格的な勉強は、その後やってもらえばいい。『英語ではハローでも、中国語ではニイハオか。へ〜』と子供たちが世界や言葉に興味を持ってくれれば、ただ、『アニメを見て面白かった』よりも、いい」と話す。

     ◇

 同局は開局以来、さまざまな語学番組を作ってきた。二〇〇二年の第一弾「もし模試TV・TOEIC TEST」は、当時はBSデジタルだけの特長だった双方向機能を生かし、リモコンでTOEICのリスニング模試を受けられる番組だった。

 放送中の「GO!GO!EIGO!」(月−金曜午後7時15分)は、赤いふんどし姿のお兄さんら奇抜なキャラクターも登場する未就学児向けの英語番組。「很好(ヘンハオ)!しゃべっチャイナ!!」(金曜午後7時30分)は、フジのドラマ「ライフ」でブレークした北乃きいが、中国語を使いながら上海を旅する「語学」と「紀行」の合体型。

 小杉部長は、同局に語学番組が多い理由を、こう説明する。

 「開局当時、BSデジタルに何が求められているのか研究した結果、ターゲットを絞り、意志を持って見てもらえる番組、見た後に何かしたくなる番組を作ることにした。教育、資格、そして、視聴率競争で地上波から消えた子供番組は、編成の柱です」

 萌(も)え系語学番組「もえがく★5」も、ウケ狙いではなく、「子供」「教育」の二つのキーワードを合わせた「大義ある番組」(小杉部長)との位置づけだ。語学以外にも、ウオーキング、ヨガ、ラジコン入門など、NHK教育の民放版のような番組が多い。

 「地上波の方が、お金をいっぱいかけて、面白いのはわかっているので、うちは、ちゃんと目的を持って見てもらえる番組をやっていきたい。体の健康の次は心の健康。今、いろいろと企画を考えています」(小杉部長)

 

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