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「誰でも加害者に」 ネットいじめで専門家に聞く

2007.10.16 23:00
このニュースのトピックス自殺

 神戸市須磨区の私立高校3年の男子生徒=当時(18)=が「もう払えん」などと遺書めいたメモをポケットに入れ、校舎から飛び降り自殺した恐喝未遂事件は、逮捕された同級生3人が神戸家裁に送致され、審判開始の決定を待つ段階に入った。この事件では携帯電話に送りつけられた恐喝メールや悪質なインターネット上の嫌がらせが、男子生徒を自殺に追い込んだとみられているが、学校側は把握できていなかった。匿名性が高く手口も巧妙化する「ネットいじめ」。専門家は「新しい規制や行政の積極的な介入が必要」と警鐘を鳴らしている。

 「ネットいじめ」の問題について、いじめ問題の支援などをしている「全国webカウンセリング協議会」(東京都)の安川雅史理事長(42)=心理学博士=に話を聞いた。

 −−ネットいじめが広がった背景は

 今の子供たちは食事でも寝るときでも携帯電話を手放さず、「携帯漬け」と言ってもいいほどコミュニケーションを携帯電話に頼り切っている。高校生では9割以上という普及率の高さに加えて、携帯電話1台で写真や動画を撮影してそのままネット上に掲載できたりする高機能性も、ネットいじめの広がりに拍車をかけている。

 −−ネットいじめと従来のいじめの違いは

 従来は体力的に勝るなど優位な立場の生徒がいじめの「加害者」になることが多かったが、ネットという仮想空間の中では誰でも加害者になりうる。仲がいいと思っていた友達や、学校では全く目立たない生徒が加害者になるケースもある。

 さらに、これまでのいじめは登校拒否や長期休暇などで学校に行かなければ直接的な被害から逃れることはできたが、ネットいじめにあっている子供は24時間、365日いつでもいじめにさらされることになる。

 相手が誰か分からないという匿名性も問題で、被害者は疑心暗鬼になってどんどん追いつめられる。いじめが表面化しにくく周囲が気付きにくいといった問題もある。

 −−ネットいじめの現状は

 協議会に寄せられる年間約3000件のいじめの相談のうち、3分の1がネットいじめに関するもの。2年ほど前から相談が増え始めた。目立って増えているのは「なりすましメール」と呼ばれるもので、特定のソフトを使って他人になりすまして嫌がらせのメールを送るという手口。

 −−ネットいじめに対してどのような対策がなされているのか

 あまり利用されていないが、ほとんどの携帯電話に「サブアドレス拒否機能」がついていたり、契約時に有害サイト閲覧を禁止する「フィルタリング機能」の設定ができたりする。また、ホームページ(HP)の運営事業者に代わって有害情報や誹謗(ひぼう)中傷が書き込まれていないかを監視する民間会社もでき始めている。

 −−今後の課題は

 通信会社を含め民間企業がネットいじめ対策を先導しているのが現状で、新しい規制や行政の積極的な介入、新たな法制度が求められている。韓国では今年7月から特定のサイトで「実名制」が導入されており、効果に注目が集まっている。

 日本では警察や自治体にいじめに関する相談窓口を設けているところも多いがネットに関する知識はまだ十分ではない。

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