Web現代トップNews Web Japan > 政治 > 2000.04.19
Webキャスター:草薙厚子 動画編集:金澤智康
動画撮影:但馬一憲
「今日の東京を見ますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな大きな騒擾(そうじょう)事件すらですね想定される、そういう現状であります」(→石原暴言ハイライトシーン
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 東京都の石原慎太郎知事が陸上自衛隊・練馬駐屯地の式典で述べた「三国人」発言が、大きな問題になっています。差別的な表現だとの批判が広がる一方、石原知事は「正当な日本語」と反論しています。今回の発言を通じて、石原知事の根底にある思想がはっきりと読み取る事が出来ます。


「暴言」は石原知事の本音

 BBC東京特派員のジュリエット・ヒンデルさんは「全く理解できない発言です。地震のとき外国人がトラブルを起こすなんてアイデアはどこから浮かんできたのでしょうか」と唖然としています。本国イギリスには「また日本の政治家がバカな発言をした」と伝えたそうです。(詳しくは動画ファイルをご覧ください)
「どんな神経をしているのか……。知事としての見識はもちろん、作家としての感性さえ疑わしく思えてきます」

ヒンデルさん「全く理解できません」
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動画撮影:金澤智康

 元参議院議員の野末陳平氏も開いた口がふさがらないといった様子。
「都知事就任後、各紙とも石原氏を『歯に衣着せぬ』とか『直言居士』などと、さんざん持ち上げてきましたが、直言どころか、彼はただ思ったままを口にしているだけ。その言葉で誰かを傷つけはしまいか、といった配慮に欠けた単なる放言に過ぎない。つまり子供と一緒なんです」

「大辞林」には第三国人とは《当事国以外の国の人》とあり、石原氏は「この字義に沿って外国人という意味で使った」といっています。けれど、そう受け止めない人がいるのも事実です。第二の意味には、《第二次大戦前および大戦中、日本の統治下にあった諸国の国民のうち、日本国内に居住した人々の俗称》と記されています。世代によっては第二の意味で捉える人も多く、石原氏の立場をわきまえない発言で、在日の中国人、韓国人、台湾人等が「これは明らかに侮蔑的発言である」と抗議しているのは当然でしょう。
  アムネスティーインターナショナルの会員である原田勝弘・明治学院大学教授もこう語ります。
「外国人を全て三国人でくくってしまうのは問題です。三国人という差別用語に痛みを感じる人がいることに理解を示していない発言であって、日本の国全体に差別発言を言わせるような雰囲気があるのではないでしょうか。閲兵で気分が高揚したのかもしれませんね」
 また、石原知事と親しいマスコミ関係者は「普段から三国人などと話していますよ。それが自然に出ただけでしょう。特別な意図があったとは思えません」と、知事の本音が出ただけだと、恐ろしい証言をしています。

“カリスマ”の危うさ

 石原知事は抗議に対して、「誤解を招くようであれば心して使わないようにします」と弁明したものの、謝罪の言葉をもらすことはなく、また、発言を報じた共同通信記者に責任を転嫁するような恫喝的な発言をするなど、まさに甘ったれた「駄駄っ子」並みです。
 石原氏は今までにも人種的な問題に関して様々な物議をかもしてきました(→暴言録)。'82年総選挙の時には東京2区で対立していた自民党候補の故・新井将敬氏のポスターに石原氏の第一秘書が「'66年北朝鮮より帰化」というシール3000枚を貼って回り、その秘書が現行犯逮捕されたり、'90年には「日本人が南京で大虐殺を行ったといわれるが、事実ではない。中国人が作り上げた話であり、嘘だ」などと雑誌のインタビューで答えています。また、'98年には「朝鮮民主主義人民共和国がノドン何号かを京都へ撃ち込んでくれれば、この社会もちっとはピリッとするんだろうけどね」などと、世界で唯一の被曝国であることを忘れたかのような不用意な発言をしています。最近では都知事に当選した直後、中国のことを「シナ」と表現し、人民日報でも大きく取り上げられたことは記憶に新しいところでしょう。

 不法入国者の犯罪問題を真正面から取り上げるのは重要なことです。ご本人も「凶悪犯罪が増え中国から覚醒剤が流れ、パキスタン人が売るという現実を知ってもらうために、あえてそういった」と弁明しています。ところが自衛隊での挨拶では論点がすりかえられているのです。今回の「差別的発言」は単に言葉だけの表面上の問題ではなく、「外国人=騒擾事件」と石原知事が捉えているところに根の深さがあります。外国人に対する潜在的な違和感・恐怖感を煽るような発言は、世界的な大都市東京の知事としてふさわしいものではありません。銀行課税の断行などで都民に好感を持って迎えられている “カリスマ”だけに、石原知事の今後の言動にはより目を光らせていかなければなりません。


石原暴言シーン
今回の取材で印象に残ったコメントがふたつあります。「閲兵で気分が高揚したのではないですか」、「以前はそうでもなかったが、60歳を過ぎてから責任を人に転嫁するようになった」というものです。さて、この指摘が当たっているかどうか、動画をご覧になってご判断ください。
〔4月16日放映「THE・サンデー」(日本テレビ系)、「サンデーモーニング」(TBS系)、「サンデープロジェクト」(テレビ朝日系)より〕
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